念願のモデルデビュー
待ち受けていた厳しい現実
芸能界に憧れを抱き、「スカウトされたい」という理由で入った青山学院高等部。この「青学」は世間のイメージと違わず、とても華やかな学校でした。
同級生にはタレント活動をしている人もいれば、実家がお金持ちで、当時、日本では誰も持っていなかったiPhoneを海外で入手し、使いこなしている子もいました。私は当初の思惑通り、学校帰りにはアバクロやラルフローレンの大きなワッペンが付いたポロシャツと紺色のミニスカート姿渋谷の街を歩いていました。
友達と109やカラオケ、休日にはディズニーランドに遊びに行ったりするのが楽しかったなあ。
2011年は、人生が大きく動いた年でした。高校3年生の夏、渋谷109の前で今の事務所にスカウトされました。入所するとほどなく、募集がかかっていた「第43回『non-no』モデルオーディション」に応募することになりました。
オーディションは書類選考後、『non-no』誌面での読者投票があったのですが、誌面に掲載する写真をスタジオで撮影したときは、もう大変でした。なんせ、プロにメイクしてもらうのも、たくさんの大人たちに見られて写真を撮られるのもはじめての経験です。どうやってポーズを取っていいか、まったくわからずに終始テンパっていました。
結果はありがたいことにグランプリを受賞。そのとき受かったメンバーの中で、モデル経験がなかったのは私だけ。最初は、「なにかの間違いじゃないの?」と思いました。「身長が高いから、目立ったのかな?」とも考えていました。夢が叶った喜びと期待、そして不安な気持ちを抱え、翌年の2月号から『non-no』専属モデルとしての活動がスタートしたのです。
今も『non-no』は若い女性に絶大な人気を誇っていますが、私が専属モデルとなった当時は、佐々木希さん、桐谷美玲さん、本田翼さん、波瑠さん……という、今も芸能界の最前線で活躍されている顔ぶれが表紙を飾っていた時代です。
よく「モデルの世界」といえば、「女の敵は女」といわんばかりにライバル同士が火花を散らす……なんて話が漫画では描かれていますが、これはあくまでフィクションの世界の出来事だと思います。少なくとも私が見てきた『non-no』の撮影現場では、どのモデルさんもとても穏やかで優しくて、良い意味でマイペース、本当に良い方ばかりでした。
モデルさんたちは、みんなキラキラと輝いていました。常人離れしたスタイルの人、顔がものすごく小さくてお人形さんのような人、ファッションセンスが飛び抜けて良い人、子ども時代からモデルをしている人……それぞれの魅力が十二分に光っていて、芸能界、いや、世界屈指の美女たちが集まる撮影現場は、眩しすぎるほどでした。