売れてない芸人と一緒に上がっていきたい

これまで出版した「売れてない」芸人自伝本32冊の中で、「売れている」書籍についても紹介してもらった。

「浜村凡平さんの『37年来~敗残の記~』と、ネコニスズ・ヤマゲンさんの『吸って大阪、吐いて東京』です。こちらに関しては、古坂大魔王さんや三四郎さん、見取り図さんが“面白い”と拡散してくださって、人気に火が付きました。そういった芸人同士のつながりは、浜村さんやヤマゲンさんが積み上げてきた財産ですので、ここにも芸人としての生き様が現れているなと感じましたね」

“売れてない”芸人の自伝本「金の卵シリーズ」はなぜ、売れるのか?_4
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また、金の卵シリーズに登場してくれた芸人には、このようなかたちで恩を返したいという。

「こんなに面白い芸人がいるんだ! と、世の中に広まるきっかけになれたらと思います。例えば、『書店員芸人~僕と本屋と本とのホントの話~』を書いたカモシダせぶんさんは、書籍を読んだ編集者から声がかかり、『小説すばる』にエッセイが掲載されました。『介護芸人のコントな世界』を書いたマッハスピード豪速球・さかまき。さんは、漫画家・エッセイストの倉田真由美さんと、webメディアで介護に関する対談をしています。舞台やテレビとは違った電子書籍というエンタメとして見せることで、芸人さんの新たな一面、魅力を発見するお手伝いができているとうれしいです」

最後に、金の卵シリーズの今後の展望についても聞いた。

「電子書籍は実体がないですが、動画や漫画というコンテンツのタネになる存在だと思っています。電子書籍出版という軸は今後もブレずに、いずれ金の卵シリーズを原作に映像化したいとも考えています」