だから私は、この相場を単なるAIバブルとは呼ばない

むしろ円の国際的価値は低下し、日本人1人ひとりの生活は以前より厳しくなっている。株価という数字だけを見れば成功に映る政策も、通貨という視点から見れば、まったく違う景色が見えてくる。

だから私は、この相場を単なるAIバブルとは呼ばない。政府主導の円安バブルと呼びたいのである。

もちろん、このバブルが明日崩壊するとは思っていない。相場は私たちの想像以上に長く熱狂を続けることがある。しかし、それが永遠に続いた試しもない。

だからこそ、これから株式投資を始めようとしている人、あるいは含み益に酔い、いつまでも利食いの決断ができない人には、一度立ち止まって考えていただきたい。

株式投資の基本は、今も昔も変わらない。安く買い、高く売ることである。企業への投資である以上、期待だけが膨らみ、実態とかけ離れた株価が付いている局面は、本来なら最も慎重であるべき局面だ。

そして、市場は瓦解する

もちろん、日本経済そのものが破綻しない限り、バブル崩壊で株価が何分の1になったとしても、数年、あるいは数十年後には買値を上回る企業もあるだろう。それは私も否定しない。

しかし、同じ利益を目指すのであれば、熱狂の頂点で飛び乗る必要はない。瓦解した市場が再び積み上がっていく過程から投資を始めたほうが、リスクは小さく、実りははるかに大きい。

私は、次のフェーズはすぐそこまで来ていると考えている。だから、このリスキーな局面では無理に利益を追い掛ける必要はない。熱狂の最後尾に並ぶのではなく、次の時代の先頭に立つ準備をすることである。

相場は逃げない。しかし資金は1度失えば簡単には戻らない。私は、この局面での投資は見送り、現金比率を高め、次の瓦解を待つ。

そして、瓦解した市場が再び積み上がっていく、その最初の局面から投資を始めるほうが、投資家としては王道であり、結果として最も大きな果実を手にすることができると考えている。

文/木戸次郎