爪がはがれる! 「死」を意識する過酷なコース
──最初に走った時の感覚は?
これまで走っている自分しか知らなかったから、そうじゃない自分を見つけた時、すごい楽しかったです。今までは足を怪我して走れなくなったら、もうこの世の終わりと落ち込んでいましたけど、スパルタンをやってからは、足が痛くて走れないなら、重いものを持つトレーニングとか、ぶら下がるトレーニングができるって思えるようになって。メンタル的にも病まなくなりましたね。
──しんどくはなかったですか?
しんどいけど、しんどいことして生きてきたんで(笑)。中距離走をやっているときから、しんどいことが当たり前というか。「まあ、こんなもんだろうな」っていう感覚で。それより、足が速いだけじゃ勝てないっていうのがすごく面白いなと思いました。身体の使い方だったり、いかに楽に速く動けるかっていう、ちょっと武術にも通じる部分が問われているんですよね。
──海外レースの話も聞かせてください。アブダビの世界大会が特にきつかったと聞きました。
あれはちょっと「死」を感じましたね。21kmのコースで、砂漠なのでそもそも全然走れない。しかも靴に砂が入って爪ははがれるし。スタートが暑さを避けた遅い時間帯なので、走っている途中で真っ暗になってくるんですよ。街灯も何もない砂漠を、ヘッドライト1つで進んでいく。高低差がすごくて、四つんばいで登らなきゃいけない場所もあって。「これ、帰れるかな」と恐怖を感じました。
──海外レース全般、過酷そうですね。
ハワイでは「この川、死んでるやろ」みたいな臭い川に胸の深さまで入らされたり、台湾では野犬に吠えられ、襲われそうになったりしたこともありましたね。ケガも多く傷口から感染症になったら最悪なので、破傷風のワクチンを事前に2回打って出ています。













