行動的な女子たち

そうした「空気」を察してなのか、進路選択について、より行動的なのは女子の方である。

東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が共同で行った「子どもの生活と学びに関する親子調査」によると、進路選択に関する行動において、「自分の意思で進路を選択した」に「とてもあてはまる」と回答した男子は49.7%、女子は62.5%、「あてはまる」と回答した男子は45.4%、女子は32.9%であった*3

同様に、「自分の進路について真剣に考えた」に「とてもあてはまる」男子は43.5%、女子は58.0%、「あてはまる」男子は49.5%、女子は36.3%であり、「自分から進んで進路に関する情報を収集した」に「とてもあてはまる」男子は25.5%、女子は44.0%、「あてはまる」男子は46.7%、女子は41.8%であった。

いずれの項目も、「とてもあてはまる」と回答した高校生は、男子よりも女子で高い。

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学業成績だけではない女子特有の進路

大学進学した読者の方々は、どのようにして進学先の大学を決めただろうか。私事ではあるが、筆者は大学進学するにあたり、「一人暮らし」をすること、教師になるために教育学部へ行くこと、の二点を最も重視していた。

ただ、「一人暮らし」をするには「親元」を離れるので、経済的負担は増加する。だからこそ、授業料が相対的に安価である国公立大学が進学先の条件となっていた。地域移動を伴うために、大学の設置主体もあわせて考慮に入れ、進学先を検討したわけである。

大学を選択する際、自身の学業成績も重要な基準になるが、経済的なこと、学びたいこと、保護者の要望など、複数の条件を考慮しながら進学先を決めていく。実は、この選択の方法も個人の意志だけではなく、社会条件の影響を受けることになる。

「受け皿」だった女子大・短大

1990年代は大学進学率の男女差が大きく、20%以上の女子が短大へ進学していた。教育社会学者、吉原惠子の論文「異なる競争を生み出す入試システム」によると、1990年代は女子高校生が短大や女子大学へ進学する「ルート」が(今よりも強く)存在していたという。

男子高校生は9割近くが一般入試を利用し、男子校・共学校にかかわらず一つの偏差値ピラミッド内で競争しているのに対し、女子高校生は大学の附属校・系列校からの優先入学制度(多くは女子大)や推薦入試を利用する割合が3割程度存在していた。

この実態の背景に、男子は浪人してでも「学力偏差値」でより上位の大学を目指すことが規範化され、女子は浪人を避けることが規範化されていると吉原は指摘している。

1970年代から1995年頃まで、大学入学者における一浪割合は、男子が約30%、女子が約15%であり、大きく変化していない。大学進学の動機は男女に大きな違いがないにもかかわらず、浪人の実態は男女で大きく異なっていたのである。

そして、浪人を避けた女子高校生は、志望ランクを下げて女子大や短大へ進学していた一方、浪人を選択した女子たちは、男子と同じように「上の大学」を狙うことを優先していたのである。