紅白の大舞台で響いた、復活の『愛をこめて花束を』
2017年、デビュー10周年を迎えていたSuperfly(スーパーフライ)は、2016年夏以降、ヴォーカルの越智志帆の喉の不調によりライブを控えていた。
そんな彼女が11月に行った復帰ライヴを経て、テレビ出演に選んだのが大晦日の大舞台、2017年の「第68回NHK紅白歌合戦」であった。
越智がそこで歌ったのは、代表曲の『愛をこめて花束を』。LEDの大きなスクリーンに映し出された花々をバックに、伸びやかで生命力のある圧倒的な歌声を響かせた。
特別審査員として間近で観ていた村田諒太が、興奮冷めやらない様子でこの曲の思い出を語っていたことからわかるように、多くの人々に強烈な印象を残した。
『愛をこめて花束を』はその10年前に世に出された作品だが、その時は越智自身が大きな転機を迎えていたという。
Superfly(スーパーフライ)は女性シンガー、越智志帆のソロユニットだ。愛媛県今治市で生まれた彼女は、自然に囲まれて育つ。幼い頃からピアノを習っていたが、中学生の時の合唱コンクールをきっかけに、人の前で歌うことに喜びを覚えて音楽にのめり込んでいく。いつしか、家の周りにある畑のなかで思い切り歌うことが、彼女の楽しみになっていった。
大学に進学した越智は、そこでギタリストの多保孝一に出会う。彼もまた、中学生の時にBSの音楽番組で観た1970年代の音楽に衝撃を受けて、ロックやブルーズにのめり込んでいた。
多保の影響から60年代や70年代のロックを知った越智は、いつしかジャニス・ジョプリンや、ローリング・ストーンズのミック・ジャガーに強い憧れを持つようになった。
そのような交流がきっかけで、多保が組んでいたロックバンド「Superfly」にシンガーとして加入。このバンド名はソウルシンガーのカーティス・メイフィールドの名曲に由来するものであった。
多保が作ったオリジナル曲を、越智が歌うという形で活動が始まった。しかし、60年代のロックに影響を受けた楽曲に理解を示す仲間は少なく、バンドとしてのライヴ活動を思うように行なうことができなかった。
それでも二人はデモテープをレコード会社に送り、チャンスを待っていた。その音源が徐々に音楽関係者の間で知れ渡るようになり、2006年に愛媛から上京する。













