営業利益率は5期ぶりに1%台まで低下

コジマは一度、沈みかけた。

2023年8月期の売上高が4%の減収となり、4割を超える営業減益となったのだ。営業利益率は2%を割り込んで1.8%まで下がった。

コジマの営業利益率が2%を下回ったのは2018年8月期以来だ。2019年8月期は人件費や店舗運営費などの経費削減を進めて大幅な増益を達成。翌年にはコロナ特需の受け皿となって営業利益率は3%近くまで上昇していた。

コジマの売上高、営業利益、営業利益率 ※決算短信より筆者作成
https://www.kojima.net/corporation/ir/settlement.html
コジマの売上高、営業利益、営業利益率 ※決算短信より筆者作成
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コジマは2022年8月期にすでに特需の反動減の影響を受けていたものの、販管費の抑制で何とか乗り切っていた。しかし、翌期はついに減収の影響を押しとどめることができず、大幅な減益となったのだ。

このときのコジマは具体的な業績向上策に欠けている印象があった。

接客力や専門性の強化、再生エネルギー事業の推進などが掲げられていたが、何が課題でどこに商機があるのかが判然としない。

2024年8月期上半期の業績は、悲観的なムードを払拭できるものではなかった。売上高は前年同期間比5.5%減の1293億円、営業利益は同12.5%減の21億円で、営業利益率は1.7%。売上高、営業利益ともに計画を下回っていたのである。

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ゲームカテゴリーは3割以上の大幅な減収に

コジマは主力となるテレビや冷蔵庫、季節家電の売上が減少していたが、その穴を埋めていたのがゲーム関連商品だ。

しかし、2023年8月期下半期からはゲーム特需からの剥落が目立つようになる。しかも、2024年に入ってNintendo Switchの後継機発売がアナウンスされており、買い控えも起こりやすいタイミングだった。

コジマは2024年8月期のゲームカテゴリーの上半期売上高が、前年同期間比の34.2%減という大幅な減収に見舞われ、窮地と呼ぶに相応しい状況だったのだ。

上半期カテゴリー別売上高 ※決算説明資料より筆者作成
https://www.kojima.net/corporation/ir/pdf/release20240411_2.pdf
上半期カテゴリー別売上高 ※決算説明資料より筆者作成
https://www.kojima.net/corporation/ir/pdf/release20240411_2.pdf

コジマは新型コロナウイルス感染拡大のさなかであった2020年11月、常務執行役員だった中澤裕二氏を代表取締役社長社長執行役員に昇格させていた。会社を立て直した木村一義氏からのバトンタッチだ。

日興アセットマネジメントや日興コーディアルグループ(現:SMBC日興証券)の取締役をも務めたエリート経営者の木村氏とは異なり、中澤氏は店長職を10年経験した後に本社勤務となった現場たたき上げの人物。正にその手腕が試される局面だった。