柳井会長「欧州、北米でそれぞれ No.1 ブランドになりたい」
ファーストリテイリングは2024年8月期に初めて売上収益が3兆円、営業利益が5000億円を突破した。
2021年8月期の売上収益が2兆1329億円だったのが、わずか3年で1兆円もの売上を積み増したことになる。
2025年8月期の売上収益は前期比9.5%増の3兆4000億円、営業利益は同5.8%増の5300億円を予想している。1割近い増収を計画しており、勢いが衰える様子はない。
一方で2024年8月期の国内ユニクロ事業は4.7%の増収で、売上収益は9322億円。国内のユニクロは売上が1兆円に届いておらず、堅調に推移しているものの成長スピードは緩やかだ。
要するに業績の急拡大を支えているのは海外ユニクロ事業である。2024年8月期の売上収益は前期比19.1%増の1兆7118億円だった。
ユニクロの海外事業はかつて中国が成長をけん引していたが、現在は弱含んでおり、2024年6-8月は減収だった。その背景には景気の冷え込みがありそうだ。
中国は2024年7-9月のGDPがプラス4.6%だった。政府が目標とする5.0%前後を2四半期連続で下回ったことになる。
特に個人の消費が弱い、2024年9月の小売り売上高は前年同月比3.2%の増加だった。
景気のバロメーターともいうべき不動産の低迷も著しく、回復する兆しが見られない。ユニクロの中国事業は、長い冬の時代を迎える可能性もある。
一方、好調なのが欧州だ。2024年8月期の売上収益は2765億円。前期の1.4倍に急拡大したのである。
ユニクロは2001年にロンドンに出店して海外初進出を果たした。しかし、大赤字を出して撤退をしている。それだけにイギリスを含む欧州エリアで成功した意味合いは大きい。
柳井会長は10月10日の決算説明会で、「欧州、北米でそれぞれ No.1 ブランドになりたい」と語り、「世界の主だった市場で No.1 にならない限り、真のグローバルブランドにはなり得ないと思います」と続けた。
欧州でシェアトップを獲ることは悲願とも言えるものなのだ。