ヤクザ界隈で広まるLINE禁止令

今年10月、多くの暴力団組織ではLINEの使用をやめるよう、組から通達が出たという。ある暴力団幹部は話す。

「組から通達が出たのは本当だ。通達の翌日、朝起きてLINEを開いたら、親分とのトーク履歴に 『メンバーがいません』と表示されていた。
上部組織からの通達は絶対だから、みんなすぐさまアプリを削除したようだ。アプリを開く度に、『メンバーがいません』という表示が増えていく」

なぜそのような通達がされたかというと、LINEの規約が変更されたことで、「反社会的勢力の人間がLINE を利用することで逮捕される」という噂が一気に広まったからだ。
LINEは暴力団関係者も広く使用していた。組員個人だけでなく、組織内でグループLINEを作成するケースもある。郵送された破門状は画像で共有され、本部通達もリアルタイムで下部組織の組員にまで転送される。どこかの誰かが事件を起こせば、その映像はすぐさま広がり、あっという間に所属する組と名前が割り出され、その情報がLINEトークに流れてくる。

今年6月、神戸市のラーメン店主で現役の山口組系暴力団組長が殺害されるというショッキングな事件がおきたが、この防犯カメラ映像もたちまち暴力団界隈のLINEで共有された
今年6月、神戸市のラーメン店主で現役の山口組系暴力団組長が殺害されるというショッキングな事件がおきたが、この防犯カメラ映像もたちまち暴力団界隈のLINEで共有された
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これだけ日常的に使われていたアプリだけに、これからはLINEを使うだけで逮捕されるのか、そうなったらえらいことだ、と騒ぎになったようだ。

その噂が広まった背景にあるのは、10月1日にヤフーとLINEが合併してLINEヤフーとなり、アプリ利用の際にプライバシーポリシーへの同意が必要になったこと。LINEでは11月以降も同意していないと、「順次、同意するまでLINEアプリの継続利用ができなくなる」としている。

前出の幹部は「俺は同意しないで使っているから、いつアカウントが削除されるかわからないけど、そうなったら別の通信アプリを使うしかない」と肩をすくめる。