「父は女性を襲うようなことはしていないと信じている」
帰宅した後、氷を受け取った瑠奈被告が浴室でスーツケースから首が入ったビニール袋をとりだし、“作業する”姿をみて修被告は「頭が真っ白になった」と話す。
6月の浩子被告の初公判でも明らかになった、娘を巡る歪な親子関係についてはこう述べた。
「10年ほど前から『瑠奈』と呼びかけると『その子は死んだ。その名前で呼ばないで』と言われるようになり、接するのが難しくなった。基本的に『シンシア』と名乗っており、叱ることもできなくなった。
(検察側は両親が娘の奴隷と化していたと主張していることについて)娘がこれ以上、心を壊さないようにするために主体的に選んだ行動だった。自傷行為や薬の過剰摂取を繰り返しており、本人を追い詰めないようにするべきと考えた」
修被告が証言を終えて立ち去る際、目を合わせた浩子被告は涙ぐみ、ハンカチで目元を押さえながら見送った。
一方、この日の公判で検察側は被害者男性の遺族の供述調書も読み上げた。
妻は男性が数年前からすすきので女装して遊んでいることも知っていたが「よい夫、よい父親であり、これからも普通の未来が待っていると思っていた」と振り返り、道警から遺体発見の知らせを受けた際のやり取りとしてこう供述していた。
「警察から防犯カメラに映ったウイッグとスカート姿の画像を見せられ『あ、パパだな』と思ったが、すすきので遺体が見つかったと言われた。『顔を見れば確認できます』と言うと『実は、頭がないんです』と言われ、頭の中が真っ白になった」
男性の長男は、父親の影響でオートバイに乗ることが好きになり、還暦祝いにヘルメットの内側に装着して会話ができるインカムをプレゼントし、ツーリングに誘ったという。そんな長男の供述調書はこんな具合だった。
「父は3度殺された。1回目はホテルで首を切られ、2回目は持ち去られた首の皮を剥がされ、3回目は犯人側の言い分がメディアに載ったこと。父は女性を襲うようなことはしていないと信じている。人を楽しませるのが好きな人で、こんな殺され方をすることには納得がいかない」
浩子被告の次回公判は、8月30日の予定だ。
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取材・文 集英社オンラインニュース班