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犯行に気付いたのは「事件当日に娘が帰宅した後だった」と共謀を否認

事件は7月2日午後に発覚した。チェックアウトの時間を過ぎても出てこない部屋に清掃に入った同ホテルの従業員が、浴室で動かなくなっていた被害者を発見、通報で駆けつけた救急隊員が首なし遺体であることを確認した。

北海道警の調べで被害者は恵庭市在住の男性Aさん(62)で、前日の夜にすすきので行われたディスコイベントに参加した後の午後11時ごろ、若い女性とみられる同伴者とチェックインしていたことが判明。

道警捜査1課は札幌方面中央署に捜査本部を設置、同24日に札幌市厚別区の田村瑠奈(29)と父親で精神科医の田村修(59)の両容疑者を死体損壊などの容疑で逮捕、翌日には母親の浩子容疑者(60)も同じ容疑で逮捕した。

田村瑠奈容疑者(知人提供)
田村瑠奈容疑者(知人提供)
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3人は殺人容疑でも再逮捕、送検されたが、札幌地検が3人の刑事責任能力を調べるためとして8月28日から半年間の鑑定留置を請求し、札幌簡裁がこれを認めた。ところがこれを不服とした鑑定理由開示手続きが9月1日、同簡裁であり、修容疑者は「娘が取り返しのつかないことをした道義的責任を感じている。被害者や遺族にお詫びします」と娘の犯行を認めて謝罪。浩子容疑者も謝意を示し、各々の刑事責任能力については「問題ない。起訴されても争わない」と述べた。

いっぽうで、瑠奈容疑者の犯行に気付いたのは「事件当日に娘が帰宅した後だった」と、計画段階から認識、犯行に関与した共謀の事実については改めて否認した。鑑定留置を巡っては両容疑者の弁護人が取り消しを求めた特別抗告を同11日、最高裁が棄却した。社会部デスクが経緯を解説する。

北海道警本部(撮影/集英社オンライン)
北海道警本部(撮影/集英社オンライン)

「道警は事件を認知した当初、Aさんが女装姿でイベントに参加していたことから、同性愛者もしくは性的少数者の犯行の可能性を重視して交友関係の絞り込みを徹底したものの、容疑者が浮上しなかった。そのため発生1週間後に現場周辺のクラブや飲食店での聞き込みなどを再度徹底したところ、Aさんが女装したうえで性的少数者を装って若い女性のナンパを繰り返し、苦情が続出してクラブを出入り禁止になるなど、界隈のトラブルメーカーだったことがわかった。なかでも深刻なトラブルに発展していたのが瑠奈容疑者に対する性的暴行疑惑だったのです」