つながりの強制

話を元に戻すと、仕事は在宅でも可能だが「やはり」対面でないとできないと考えて出社を強いるのは表向きの理由でしかない。その本当の理由を本人もわかっていないのかもしれない。それは自分の目の届く範囲で部下に仕事をさせ、支配したいからである。出社するように指示するのは、仕事の効率とは関係ない。

リモートワークを認めない上司の言い分「対面でないと伝わらない」「アイデアは雑談から生まれる」「信頼関係が築けない」が間違っている理由_4

部下が目の前で働いていないと支配できないと思う。だからこそ、部下を出社させ自分の支配下に置きたいのである。上司は部下が本当に仕事をしているのか疑っている。

また、出社を強いるのは、対面での会議であれば発言しなくても黙ってすわってさえいれば、部下を威圧することで支配できるのに(できると思っているということだが)、リモート会議ではそうすることができないので、対面することで支配したいからではないか。

リモート会議では、何も発言しなければいないのも同然である。理路整然と説得力のある発言をする上司は、有能なリーダーとして部下から評価されるだろうが、黙っていればそのような評価を得ることはできない。たとえ発言したとしても、論理的に語れなければ、リーダーとして有能とは見なされない。

対面していれば、部下を叱ることで支配できると思っている上司がいる。もちろん、オンラインでも叱れるが、ミュートされるかもしれない。しかし、対面であれば部下は逃げ場がない。

さらに、在宅でも勤務できるという自由を認めたくないのである。出社するかどうかはまるで踏み絵のようだ。出社を指示されたら何もいわないで大人しく会社の指示に従う人しか残らなくなるかもしれない。

リモートワークが今後どうなるかわからないが、リモートワークと出社のどちらも選べるのがいい。コロナ禍が収束した後、何もかも元に戻す必要はない。便利なことをやめる理由はない。リモートワークができるのにリモートワークを選べないとしたら、そのオプションがないことはつながりの「強制」である。