オンラインの高い利便性
声を聞くだけではコミュニケーションが難しいというのであれば、オンライン会議アプリを使うことができる。使ったことがない人が想像するのと違って、オンライン会議や、医療で利用されるようになっているリモート診療では、ディスプレイに大きく映る顔を見ることができ、実際の対面よりも表情がよく見える。もっとも、顔が見えれば相手のいっていることがよく理解できるかといえば、必ずしもそうではない。顔が見えることは理解の助けにはなるが、理解のために必須ではない。
診療についていえば、すべてをリモートで行うことはできない。痒さや痛さといった感覚は外からはわからないからである。しかし、その人が感じている痛みは、その人が目の前にいてもわからない。
私の場合、近年講演はすべてオンラインで行ってきた。海外とつないで講演することもある。編集者との打ち合わせもオンラインである。オンラインでの講演であれば、講演者は遠方まで行く必要がなく、講演を聴く側にもメリットがある。
講演が遠方で開催されると、以前は大抵諦めざるをえなかったが、今なら自宅で講演を聴くことができる。海外の講演も聴ける。主催者も会場の手配をする必要がなく、講演者に交通費や宿泊費を支給する必要もない。新型コロナウイルスの感染が収束しても、対面の講演に戻す必要はないと考えている。