#2「吐きやすさで食べるものを決めるんです」10代から摂食障害や強迫性障害に苦しむ俳優・遠野なぎこさんの今

鼻血が出るまで殴られた幼少期

ーー幼少期からお母さまからの虐待や育児放棄に遭っていたとのことですが、いつ、どのような虐待を受けていたんですか。

遠野なぎこ(以下、遠野)物心ついたときには、母親から殴られたり、精神的に追い詰められたり。あとは見た目のことをすごく責められたり、食事を作ってもらえなかったりというのはありましたね。私は4人きょうだいの一番上なんですけど、下の子たちにはそういうことはなかったので不思議には思っていましたけど、それが当たり前だったので辛いとか思ったことはなかったです。

ーーでも当然、痛かったりするわけですよね。


遠野 はい。鼻血が出るまで、ずーっと殴られ続けたりとかしていたので…。でも痛いというより、常に母親の愛情を求めていたんですね、私。だから、その時間だけは母親に構ってもらえるという、ちょっと歪んだ愛の求め方をしていました。

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ーーそれを愛情だと思われていたんですか。

遠野 思っていました。殴られた後に、鼻血がポトポトポトポトって出て、床が汚れちゃうじゃないですか。汚いからって、バケツを渡されるんですけど、私はそのバケツに血がたまっていく様子を見ながら恍惚とした気持ちを抱いていたような気がします。

ーーお母さまは、どうして遠野さんだけに暴力を?

遠野 私のことを女として見ていたんじゃないかなと思いますけどね。私は6歳から子役をやっていたのですが、母は私を女優にさせて、成功すると人に自慢したいんですけど、それと同時にうらやましくて引きずりおろしたいという部分もあったみたいで。母を擁護する気は一切ないですけど、彼女自身もそういうところで苦しんでいたり、葛藤があったんじゃないかなと、今は思いますけど。

ーーそんなに小さい遠野さんを見て自分を投影させてしまっていたんですかね。


遠野 そうだと思います。周りはそんなことは想像しなかったと思うので(虐待のことは)分からなかったと思います。すごくかわいいお洋服を着せられて育てられてましたから。お誕生日会とかがあると、張り切って他の子どもたちを呼んで、ケーキとか作ってくれましたし。そういう完璧なお母さんを演じたかっただけだったと思いますね。