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「上司ガチャ」は、運で決まるものではない。

本書のテーマは、タイトルのとおり「上司ガチャ」だ。私の会社の新卒社員が何気なく使ったこの言葉に興味を引かれ、この本のタイトルに使わせてもらうことにした。

「ガチャ」とはご存じのとおり、一般に「ガチャガチャ」と呼ばれるカプセルトイや、ゲームのアイテムのような、中身がランダムで決まる商品のことだ。ガチャの中身は自分で選べないし、欲しいものとは違う景品が入っていたからといって、そう簡単にやり直すことはできない。

社会に出た、いまであれば「大人買い」もできるだろうが、子どもの頃はガチャガチャの前で「何が出るだろう」とワクワクしたり、狙っていた景品を引き当てられずガッカリしたりした経験は、みなさんにも覚えがあることと思う。

「上司ガチャ」とは、配属や配置転換、異動などに伴い、特定の上司のもとにつくことを指し、最近よく聞かれるようになった言葉である。「当たり」と感じることもあれば、その逆もあるのがガチャの常。会社という組織に属している限り、上司ガチャを引く機会は何度も訪れることとなる。

その多くは、入社面接や配属のタイミングだろう。所属部署のトップや人事部の担当者が、「この人は、あの人に合いそうだな」「この人のキャラクターは、あのチームに必要だ」などと考えながら上司と部下の組み合わせを検討していくが、一般的なガチャと同様、上司ガチャも一見ほぼランダムのように見える。

部下の立場から上司を選ぶことはできないし、ハズレだったからと言ってやり直す、要は「別の人に代えてほしい」なんて言えるわけもない。これが世間一般の常識だ。

けれど、私は声を大にして伝えたい。

上司ガチャは、決して運だけで決まるものではないし、一生懸命努力すれば、自らの手で上司を選べるようになる。

そしてハズレを引いてしまったとしても、それなりの対応策があり、どの上司につくかによって成長スピードは大きく変わってくる。

本章では、これらの点について具体的に話していこうと思う。

職場で「上司ガチャにハズれた」と感じる人は8割超。「上司と相性が悪い」と感じたときにすべきこととは「上司は部下を理解してくれるは幻想」_1
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