「痛いっ」「もう嫌だ。もう出てく」

冨永さんの小中学校時代の同級生の母親は、こう表情を曇らせた。

「娘と仲が良くて、小学生低学年のころはよく一緒に遊んでました。紗菜ちゃんは昔から明るくて可愛くて、当時すでに劇団のお仕事もしてました。お母さんは専業主婦でしたけど、演技力を伸ばそうと、すごく熱心に育てているように見えました。紗菜ちゃんが何かの劇に出ることになったときも私たち保護者仲間に『よかったら見に来てください』と一生懸命声かけをされていました。高校生になると可愛さに磨きがかかって、付き合う異性には困ってないようでしたけど、最近はDV気質の年上男性と付き合っているらしいと地元の子たちの間では噂になっていたみたいです」

冨永さんの中学校時代の同級生の弟はこう話した。

「中学時代は目立つような子ではなかったようです。でも、紗菜ちゃんと仲のいい僕の先輩が、今回事件を起こした彼氏から『お前、別れたら知らねえからな』と紗菜ちゃんが脅されていたと言っていたのを覚えています。今から3〜4カ月前のことです」

伊藤容疑者と同じアパートに住む20代の女性は、2人とみられる男女の激しすぎるケンカに辟易し、110番通報したことがあるという。

「これまでも何度か2階の部屋から男女がケンカする声や音が聞こえたことがあったんですが、去年の12月はあまりにもひどくて通報したんです。物を落とす音や何かが割れる音に加えて、女性の『痛いっ』『もう嫌だ。もう出てく』という叫ぶ声がしました。追いかけるように男性の『落ち着いて。そんな大きな声出さなくていいじゃん』という声も聞こえたんですが、夜中だったしケガでもしてるんじゃないかと思って通報しました。2階にどんな人が住んでるのかは私は見たことはないんで、その人が容疑者かどうかはわからないのですが」

伊藤容疑者が住んでいたアパート(撮影/集英社オンライン)
伊藤容疑者が住んでいたアパート(撮影/集英社オンライン)

同じアパートに住む別の20代の女性も同様のトラブルを経験していた。

「5ヶ月くらい前、夜中の2時過ぎに壁や床に『ドン、ドン』と何かを叩きつける音がして、女性の『痛い』という叫び声と、男性の『あんまり騒ぐと通報されるだろ』という声が聞こえました。あまりにうるさいので通報をすると、しばらくたってピタリと声が止みました。実は以前に落ちていた郵便物を見たことがあり、宛名が『伊藤』だったので、おそらくその男女の声も容疑者の部屋かと思います。私が見たその男性はヘアバンドをして髪をあげていて、小柄で細身でした。女性も小柄で金髪でわりと派手めでした。断捨離でもしていたのか、2人でアパートの廊下にゴミを出していたのを見かけたこともありますが、そのときは仲良さそうにしてましたけどね……。
また、私とは違うタイミングで他の方が通報したこともあって、そのときは男性が部屋の扉を開けなかったようで、警察官が明け方までその部屋の扉を叩いていました。実際に事件が起きてみて、警察は何度も通報が入ってたんだから、もっと何かできたんじゃないかとも思います。ただでさえ、この辺は治安が悪くてケンカの声とかすごい怖いんで」