「後輩のヤクザから預かってる女だよ」と説明
この事件は派遣型風俗店で働いていたAさん(当時48歳)が2021年6月27日、埼玉県内のホテルで元稲川会系暴力団組員、井上大輔容疑者(48)=別の覚醒剤事件で服役中=と会ったのを最後に失踪。今年5月9日に警視庁が秋田市内の雑木林内で発見し、遺体は木箱のようなものに、コンクリート破片などと一緒に入っていた。主犯格の井上容疑者と遺棄現場の土地の所有者で元妻の土岐菜夏容疑者(34)=さいたま市緑区=、井上容疑者が当時勤務していた引越し業者の同僚の菅原和宏(44)、飯田翔(29)、下田陸朗(26)の3容疑者が逮捕されたものだ。
当初Aさんは薬物を摂取後に体調が急変して死亡、井上容疑者が菅原容疑者をホテルに呼び出して遺体を土岐容疑者の自宅に運び、駐車場やコンテナなどで保管した後、21年9月に秋田市金足下刈の雑木林に穴を掘って埋めたとみられていた。しかし、被害者はホテルから土岐容疑者の自宅に運ばれる前に、引越し業者の事務所(埼玉県川口市)でオムツをした状態で“管理”されていたという。井上容疑者が当時勤務していた引越し業者の元同僚が語る。
「Aさんを運んでいるのを見たんですよ。事務所は2DKのアパートで、一部屋を仕事用、もう一部屋を井上の部屋という感じにしていました。21年の6月末か7月の半ばまでのことだったと記憶しているんですが、ある朝、その井上の部屋で誰かが寝ていたんです。暖簾がかかっていたのと薄暗くてはっきり見えなかったんで、『下田が寝てるんですか?』と井上に聞くと『後輩のヤクザから預かってる女だよ』と言われたんです。しかもオムツが床に転がっていて、『これはシャブ絡みのトラブルだな』と直感しました。井上が覚醒剤をやっていたのはみんな知ってましたから」
おかしいなと思いながら引越しの仕事に出たこの元同僚だったが、現場から戻ったとき、事務所は妙に物々しかったという。
「井上と飯田がアパートの階段から女性を運んでるところで、『何してるんですか?』って近づくと『女運んでるんだよ、お前も手伝え』って指示されたんですけど、『時間ないのでしません』と断りました。事務所に戻ってきた井上には『シャブ中の女だからああいう状態になってる。送ってやるために運んでた』と説明を受けました。Aさんの顔もそこで見てるはずなんだけど、あまり覚えてないです。井上のトラブルには関わりたくなかったんで……」