私が私の鎖になりそうになる

ここで描かれているのも、女性はこうであるべきという「イメージ(幻)」に合致する行動を会社などで強いられる状況への疑問です。「私が私の鎖になりそうになる」という表現は、性差別と同調圧力に迎合することで女性が自分をさらに圧迫しているという、理不尽な現実のつらさを表現しているように感じます。

ネット媒体「ビジネス・インサイダー・ジャパン」が2017年8月11日に公開した「このCMは男性にこそ見て欲しい─幻の男女像にとらわれる日本」という記事も、このシリーズの制作総責任者である原野とコピーライターの山根哲也のインタビューを掲載していましたが、コピーを書いた山根はコンセプトについて、こう語りました。

「女性だけではありません。幻の男性もいるし、幻のお父さんも幻のお母さんもいる。同調圧力の強い日本では、社会的な理想像が支配している」

原野も、日本社会に潜む見えない同調圧力として「性別による社会的役割の幻」が存在する事実について、こう指摘しました。

「日本では女性はこう生きた方がいい、男性はこう生きた方がいいというジェンダー的なステレオタイプが強く存在している。そこから解放されていくことが、日本が(第1弾CMのコピーである)『発展途上国』から『先進国』への仲間入りをする道なのではないかと考えました」

文/山崎雅弘

#1『元気な小学生が中学生になると面白みのない生徒になる…「みんなも我慢しているんだから我慢しろ」無能教師がはびこる日本の同調圧力教育』はこちら

#2『なぜ多くの日本人は昔から、同調圧力が「好き」なのか…自由を「わがまま」や「自分勝手」ととらえ、厳しい校則で圧をかける教師もいる』はこちら

『この国の同調圧力』(SB新書)
山崎雅弘
2023年7月6日
990円
264ページ
ISBN:978-4815619206
私たちを縛る「見えない力」から自由になるヒント

日本はなぜ、
ここまで息苦しいのか?


日本人は、なぜこれほどまでに「同調圧力」に弱いのか? 私たちの心と行動から自由を奪う「見えない力」をさまざまな角度から分析し、その構造を読み解き、正体を浮かび上がらせる、現代人必読の書。
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