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中国・台湾・アメリカ・日本の軍事能力など様々な情報を基に分析を行い、もっとも可能性があると思われるシナリオに基づいて中国軍の台湾進行及び日本への波及、アメリカの参戦などのシミュレーションを行った。展開しているシナリオは、本書(第1部)で触れた図上演習の成果(日本政府の対応)を反映している。『完全シミュレーション 台湾侵攻戦争』より

【Xデーマイナス数ヵ月~1ヵ月in 台湾】

( 台湾 )
台北市及び近隣都市では、現政権の経済政策や国連復帰など、外交政策に反発した市民グループが大規模デモなどの反政府活動を活発化させていた。加えて過激派が政府機関・銀行・通信インフラなど公共施設に爆発物を仕掛けテロ活動を行い、治安情勢の悪化に拍車をかけた。

野党の一部は、「混乱の原因は総統の国連演説などの外交政策にあり、大陸との融和政策に転換すべきだ」と主張し、市民デモに参加していた。さらに議員の一部は国会議事堂入口にバリケードを築いて実力で国会審議を阻止し、総統の退陣を要求した。

台北市では、混乱を防止するために、21時以降の夜間外出禁止措置が取られるなど、市民生活に大きな影響を及ぼす事態となっている。
  
○月○日、台北市重慶南路一段の総統府近くで、デモ隊と警官隊が激しく衝突しデモ隊側に多数の死傷者が発生した。

この際、中国から台湾に留学していた中国人学生が巻き込まれて2名が死亡する事案が発生し、中国外交部報道官が台湾当局に強く抗議する声明を出した。台湾政府はデモの首謀者や過激派の一部に中国政府の指示を受けたグループが組織的に関与していると非難した。

こうした反政府運動はあっという間に台湾全土に拡大。一部は先鋭化し、大陸との統一を叫んで軍施設を襲うなどエスカレートしていった。台湾総統府は、このまま過激行動が収まらない場合、戒厳令も辞さないと警告を発した。

元陸将が暴露する中国の「台湾侵攻」完全シミュレーション【第2部】台湾、過激派反政府デモで大混乱_1
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台北市、台南市、高雄市などでは警察による反政府組織の摘発が開始され、総計2000人を超える容疑者が検挙された。中国外交部報道官はこの中に中国人留学生や中国国籍の人間が含まれていることを重視し、「きわめて重大な事件で傍観するわけにはいかない。速やかな釈放と人権の保護を要求する。それが行われない場合には断固たる措置を取る」と声明を出した。続けて国防部報道官も「抑圧された台湾同胞を解放する用意がある。これは中国の内政問題であり、他国の介入を断固阻止する」と発表した。

中国のあるマスコミは、「台湾市民の90%以上が大陸との統合を望んでいる」という、台湾市民の世論調査なるものを伝えた。
SNS上には「台湾市民は大陸との統合を望んでいる」「政府はデモ参加者を逮捕し、強制収容所に収容し殺している」など、明らかに偽情報と思われる記事が溢れた。

台湾政府は「中国による認知戦」であるとし、惑わされることなく冷静さを保つように市民に呼び掛けている。
  
台湾外交部や国防部など政府機関のホームページが改竄される事案が発生した。その後、外交部・国防部・財政部・経済部をはじめとする政府機関、中央銀行などに集中的にアクセスして機能不全に追い込むDDoS攻撃が行われて決済が一時停止するなどの障害が発生した。
  
台湾西部の主要都市では発電所や変電所のコンピューターにサイバー攻撃が仕掛けられ、大停電が発生した。都市ガス施設に対して爆破テロが発生し、家庭向けのガス供給に重大な障害が起きた。

台湾政府は、これらの社会インフラへの攻撃は中国政府の扇動によるものであるとし、国際社会に中国の攻撃を止めるように訴えた。

国家反逆罪にあたる事案も多発していた。台湾軍の秘密文書が中国の商社社員に渡される事件や、中国軍侵攻時に降伏する契約の締結などである。2022年には、台湾陸軍の大佐が約250万円の賄賂を受けとり、「戦時には中国のために力を尽くす」などと書かれた「降伏承諾書」に署名していたことも発覚している。台湾の国家安全部は軍と協力して利敵行為の調査を強化した。