“反省”のためのプログラムは
では、改善更生のための刑務所のプログラムは、どのようになっているのだろうか。
かつての刑務所は、1908(明治41)年に制定されて以来、100年近く続いた「監獄法」のもとで運用されてきた。その枠組みでは、受刑者の社会復帰や改善更生に向けた処遇方法が十分に定められていなかった。
そんな中、名古屋刑務所で事件が起こる。2001(平成13 )年に刑務官が集団で受刑者の下着を脱がせて消防用ホースで水を浴びせて死亡させ、翌年には別の複数の刑務官が、革手錠付きのベルトで受刑者2人の腹部を締め上げて死傷させた。相次いで発生したこの事件をきっかけに、受刑者の人権への配慮が欠如しているなどの批判が強まり、ついに監獄法は全面改正されることとなった。
そうして2006(平成18)年に施行されたのが、「受刑者処遇法(刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律)」で、さらに翌年にその一部を改正した「刑事収容施設法(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律)」が施行されると、受刑者の改善指導の柱として教育プログラムが整備され、「特別改善指導」が行われるようになった。
特別改善指導とは、薬物依存があったり、暴力団員であったりと、社会復帰に向けて特別なハードルがある受刑者に対して行われる専門的なプログラムである。依存や組織からの離脱を目指すものなど、種類は全部で6つある。
殺人などの重い罪を犯した受刑者には「被害者の視点を取り入れた教育」が行われる。自らの罪の大きさと向き合い、被害者や遺族の苦しみや心の傷を認識させるカリキュラムが組まれ、再び罪を犯さない決意を固めさせるとともに、遺族に対する誠意を持った償いを促していく。
では実際、彼らはどう向き合おうとしているのか。私はその場を取材する機会を得た。