「育成のチーム」ゆえの壁

帝京大は「育成のチーム」の代表格であり、毎年4年生に主力が多いのが特徴だ。

帝京大が育成のチームと呼ばれるゆえんは、スカウト事情にもある。

他の強豪校のように、“超高校級”といわれるような選手がなかなか入ってこないからだ(もっとも中野監督は、高校時代に完成された選手よりも、飢えた目をした選手を好むが)。

特に、中央大や立教大といった“ブランド校”が選手獲得に力を入れ始めてからは、その煽りをもろに受けているように思う。

それでも、4年間をかけて力を蓄えた選手が、箱根駅伝で活躍を見せてきた。

シード権を獲得していた過去5年間、箱根を走った帝京大の4年生の人数は以下の通りだ。

2018年(第94回大会・総合9位)…1人
2019年(第95回大会・総合5位)…3人
2020年(第96回大会・総合4位)…5人
2021年(第97回大会・総合8位)…4人
2022年(第98回大会・総合9位)…6人


2018年、2019年は少なかったが、2020年以降は約半数のメンバーが入れ替わることになった。毎春、主力の大半が卒業し、「戦力ダウンは必至」と書くのが恒例となっていた(もっとも、これこそが学生スポーツの本来の姿なのかもしれないが)。

それでも帝京大には毎年、新たなヒーローが誕生し、逆境をはねのけてきた。