自分の欲望を言葉にするのが苦手

「自分のためだけに生きることに、若干飽きてきた」舞台『宝飾時計』で初タッグ。高畑充希×根本宗子が語る30代のリアル_03
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──劇中では一番好きなものを「好き」と言えないゆりかの複雑な心情も描かれています。お互いの才能に惹かれあったおふたりは、どんな人に惹かれますか? また、「好き」をストレートに伝えることはできるタイプですか?

根本 私はすごく無邪気な人に対する憧れが強いんです。昔から無邪気じゃないので(笑)。洋服でも「私もそれ欲しい」とか、「それかわいいね、どこで買ったの?」みたいなことを、すっごい無邪気に言える人っているじゃないですか。

言ったほうが絶対にいいのはわかっているんです。言われて嫌な気はしないだろうし、私も作品が面白かったと言われるとうれしいわけですから。

でも、「今これを言ったらこう捉えられちゃうんじゃないかな」とか、自分の中のエクスキューズがありすぎて言葉にできなくて。だから無邪気な人に出会うと、すごくいいな、素敵だなって思います。それは年齢とか性別問わず思うかもしれないですね。

高畑 私の場合は、人のいい部分に関しては結構口に出せるんです。根本さんに「めっちゃ好きでした」とか、「芝居を書いてください」とかは言えましたしね。でも(今回の舞台の衣装を担当しているデザイナーの)神田さんの服が欲しいとか、自分の欲望になると、ちょっと言葉にできなくなるというか……。

根本 すごくわかります。私も、舞台を作る上で「一緒にやりたいです」とか、クリエイティブな部分の意見や欲望は言えるんです。でも一個人としては……。

高畑 わかる(笑)。

根本 そこが充希ちゃんと少し似ているのかなって、しゃべっている中で思ったりもして。似たところがある俳優さんが好きなんです。多分。

──ゆりかが持つ個性は根本さんの一部であり、高畑さんとも共通しているんですね。

根本 もちろん、自分の要素もたくさん入っていますし、充希ちゃんの声で聞きたい台詞もあります。私はいつも群像劇を書くので、ここまで主人公がはっきりしているものって、意外とないんです。ゆりか以外の役にももちろん同じくらい愛情がありますが、今回はゆりかが真ん中にいて、それを充希ちゃんが演じる。

自分の新しい演劇の扉が、この作品で開いたらいいなと思っています。



取材・文/松山梢 撮影/MISUMI ヘア&メイク/根本亜沙美(高畑さん) 堀田ゆう(根本さん)

『宝飾時計』

「自分のためだけに生きることに、若干飽きてきた」舞台『宝飾時計』で初タッグ。高畑充希×根本宗子が語る30代のリアル_04


作・演出:根本宗子
テーマ曲:『青春の続き』/高畑充希 作詞 作編曲/椎名林檎
出演:高畑充希、成田凌、小池栄子、伊藤万理華、池津祥子、後藤剛範、小日向星一、八十田勇一

主人公のゆりか(高畑充希)は子役から女優として活躍しているが、驚くほど業界に染まっていない。30歳を迎え、同級生たちが次々と結婚し子供を産んでいく中、「私は何のためにこんなことをやっているのだろう」と自分の存在の意味を見つけられずにいた。
そんな彼女の心を日々支えているのはマネージャーの大小路(成田凌)。ある日ゆりかのもとに「21年前にやったミュージカルの記念公演のカーテンコールで、テーマ曲を歌ってくれないか?」という依頼が飛び込んでくる。それは彼女の原点となった舞台だった。仕事を引き受けたゆりか。現場で、当時一緒にトリプルキャストとして主演を務めていた真理恵(小池栄子)と杏香(伊藤万理華)と再会する。その中で、過去と現在を行き来しながら、ゆりかは自分の人生を振り返り、孤独に押しつぶされそうになる。日々増える無力感の中、ゆりかは自分の人生の肯定の仕方を考え始め……。

●2023年1月9日〜1月29日 東京芸術劇場プレイハウス(地方公演あり)

公式サイト:https://horipro-stage.jp/stage/houshokudokei2023/

高畑充希
1991年12月14日生まれ、大阪府出身。2005年にデビュー。2007年~2012年『ピーター・パン』で8代目ピーターパンを務めるなど舞台で活躍する一方、2013年にNHK連続テレビ小説『ごちそうさん』、2016年にNHK朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』をへて、ドラマ『にじいろカルテ』(2021)『いりびと-異邦人-』(2021)『ムチャブリ! わたしが社長になるなんて』(2022)、映画『明日の食卓』(2021)『キャラクター』(2021)『浜の朝日の嘘つきどもと』(2021)など映像でも活躍。2022年は4度目の出演となる『奇跡の人』や、2年越しの公演となった『ミス・サイゴン』など、自身の原点となる舞台出演が続いた。

根本宗子
1989年10月16日生まれ、東京都出身。19歳で月刊「根本宗子」を旗揚げ。以降、劇団公演全ての作・演出を担当する。主な作品は『夏果て幸せの果て』(2016)『皆、シンデレラがやりたい』(2018)『愛犬ポリーの死、そして家族の話』(2019)『クラッシャー女中』(2020)『もっとも大いなる愛へ』(2021)など。2022年には『もっと超越した所へ。』が映画化され話題を呼んだ。