話が違う、とはまさにこのこと

当初15地域だった燃料問題は、公式に21地域へ拡大。ウクライナ側の分析では実質60地域に及ぶという。

さすがのプーチン自身もこの危機を認めざるを得なくなったようだ。プーチンは政府高官との会議で「ガソリンスタンドに長蛇の列ができている」「必要な等級のガソリンが常に手に入るわけではない」と語った。

あれほど「すべては計画通り」と繰り返してきた男が、燃料不足を公式に認めたのである。話が違う、とはまさにこのことだ。

ようやく、燃料不足を認めたプーチン大統領
ようやく、燃料不足を認めたプーチン大統領

政府の対応も迷走している。ガソリンと航空燃料の輸出を半年間全面禁止し、毎月2,000億ルーブルもの補助金を投じてポンプ価格を抑え込もうとした。それでも価格は週に約1%ずつ上昇を続けている。

さらに苦肉の策として、燃料の品質基準を「ユーロ5」から「ユーロ3」へ引き下げた。許容される硫黄含有量は1キログラムあたり10ミリグラムから150ミリグラムへ、一挙に15倍に跳ね上がった。

エンジンを傷める粗悪な燃料を市民に押し付けてでも、量を確保するしかないところまで追い詰められている。

かつてヨーロッパ全土にエネルギーを供給した大国が、今やベラルーシやカザフスタンに緊急輸入を要請している。国民の目に、これが威信の失墜と映らないはずがない。

怒っているのが反体制派だけではないという事実

だが、ここで重要なのは、怒っているのが反体制派だけではないという事実だ。むしろ戦争を最も熱心に支持してきた愛国的な軍事ブロガー、いわゆる「Zブロガー」たちこそが、政府への批判の急先鋒になっている。

登録者150万人超を誇る軍事チャンネル「リバール」は、ウクライナの狙いがロシアの防空システムそのものを枯渇させることにあると警告した。

背後にあるのは絶望的なコストの非対称性だ。ウクライナのドローンは1機数万ドル。それを撃ち落とすパンツィリやトールの迎撃ミサイルは、1発でその10倍以上かかる。

安価な標的のために、貴重な迎撃弾を浪費させられ続ける。Zブロガーたちは「なぜ後方の重要インフラを守れなかったのか」と軍指導部の無策を激しく糾弾している。

高官たちの口からも、諦めが漏れ始めた。国家安全保障会議書記のショイグは「ロシアのどの地域ももはや安全だと感じることはできない」と公言し、国防相が誇る「97%の迎撃率」を真っ向から否定した。