プーチンが国民と交わした契約は、もはや果たされていない
「自らの手で味方の防空網を盲目にしている」とZブロガーたちは叫んだ。情報統制が、自軍の首を絞めたのである。
ガソリンスタンドで殴り合う市民。見捨てられたと感じるベルゴロドの住民。無策を糾弾するZブロガー。腐敗に激怒する兵士。
彼らの怒りに共通しているのは、反プーチンのイデオロギーではない。「守ると言ったではないか」という、裏切られた者の怒りだ。
プーチンが国民と交わした契約は、もはや果たされていない。黒煙に覆われた首都の空が、配給制の長い列が、罰金で口を塞がれた住民の沈黙が、そのことを雄弁に物語っている。話が違う——その一言が、いま広大なロシアの大地の至るところで、激しい怒りになって巻き上がる。
エネルギー大国としての威信は失墜し、国民との「生活の安定」という約束は完全に破綻した。プーチン政権がいくら情報統制で現実を覆い隠そうとも、ガソリンスタンドの長蛇の列や地方の悲痛な叫びといった日常の崩壊は隠しきれない。
反体制派だけでなく、愛国派や兵士までもが抱く「話が違う」という根深い不信感。それは今、政権の足元を揺るがす巨大な亀裂となり、広大なロシアの大地を静かに、しかし確実に侵食し始めている。
文/小倉健一 写真/shutterstock













