セックスレスの問題をどちらかのせいにしたくなかった
――セックスレスをテーマにしたコミックエッセイを描かれようと思ったきっかけは?
以前からこのテーマで描きたいなと思っていたんですけど、編集の方たちと一緒にご飯を食べたときにその話をしたら共感してくれて、「なぜ、今それをやらないんだ」っていう話になって。そういうテーマが取り上げられることはなかったから「ぜひ描いてほしい」と言われて、レタスクラブでの連載が決まりました。
――キャラクター設定や物語の展開は、周りの方やおぐらさん自身の経験を軸に作られたんですか?
特定のモデルはいないんですけど、友達の話も参考にして、複合的に決めていきました。セックスレスになる原因も、それを解決していく方法にもいろいろあると思ったので、群像劇にしようというのは決めていて。「こういう感じでみんなレスになっていくのかもしれないね」というキャラクター設定をして、話を作っていきましたね。
――物語を書く上で気をつけたことや、ここは貫こうと決めたことはあったんですか。
夫婦やパートナーの、どちらかが悪いという描き方はしないように心がけました。これって、戦いじゃないよねっていう。お互い、よりよい人生にしたくて性生活に悩むわけだから、もめてる場合じゃなくて。片方だけに原因があるわけではないとなると、問題解決は簡単ではないですけど、描いていて、そういうものだよな、複雑だなと思いましたね。
――主人公のハルヒのお母さんとの関係性や育った環境も、自分を抑え込んでしまう性格や今の行動に結びついていてリアルでした。そのあたりの奥行きも意識されたのでしょうか。
お話の前半、セックスレスの夫婦がグズグズしてる話が続くんですけど、担当さんに「いつまでこんなことやってるの?」って言われて(笑)。これってふたりの関係性だけが原因じゃないよね、っていう話になったんです。
夫婦になって急に問題が出てきたわけじゃなくて、長年、積み重ねてきた生活とか、性格とか親子関係も問題としてあるのかなと思い始めて。お互いの親のことや、子どものことも描いてみました。
――物語として展開させていくためにもそこが必要だったんですね。
そうですね。私、わりと話を最初に決めてしまうこともあるんですけど、この作品に関しては、描きながら考えていきました。主人公と一緒に悩んで、考えてきたっていう思い入れがありますね。