朝ドラ“夫婦もの”BEST1は…
BEST2:史上初の外国人ヒロイン起用、国際結婚した夫婦の絆を描いた『マッサン』
2位は、2014年度後期に放送され、玉山鉄二とシャーロット・ケイト・フォックスがダブル主演を務めた『マッサン』だ。モデルとなったのは、日本のウイスキーの父と呼ばれる竹鶴政孝と、その妻・リタで、ウイスキー造りに情熱を燃やす2人の姿が描かれている。
「『マッサン』の前作は『あまちゃん』『ごちそうさん』『花子とアン』と大ヒットが続いており、世の中的にも『これ以上の作品はしばらくでてこないのでは…』と思われていたタイミングでの大冒険作品でした。
国際結婚に加え、ウイスキーを造ること自体苦労する戦中戦後の時代の中で、妻の支えを描いた作品。外国人ヒロインのエリー(シャーロット)が、慣れない日本語で話すのですが、母国語が日本語じゃないヒロインを描くという大きな難題をクリアしながらも、夫婦愛を深めていく物語後半の展開に胸を打ちました」
BEST1:インスタントラーメンを開発した日清食品創業者の夫婦の物語『まんぷく』
堂々の第1位は、インスタントラーメンを世界で初めて開発した日清食品の創業者、安藤百福とその妻をモデルに描いた2018年度後期『まんぷく』(主演:安藤サクラ)だ。
「日清食品の創業者をモデルにした萬平さん(長谷川博己)がかなりイカれてて、自分のやりたいことに猪突猛進してしまい、何度も逮捕されては収監されるんですね。そんな夫に安藤サクラ演じる福子が翻弄されながらも最後まで健気にぶつかっていく姿が描かれていました」
『まんぷく』は平成最後の朝を飾る記念すべき99作品目だったが、実はその発表前から100作品目『なつぞら』(NHK東京放送局)のヒロイン発表がフライング気味に行なわれ、主演を務める広瀬すずに注目が集まっていた。
「100作品目が注目を集める中、『じゃあ99作品目は…?』って空気が流れていた際、安藤サクラを主演にぶつけてきたのは、NHK大阪放送局の気合を感じました」
なかでも話題になったのは、安藤サクラが音楽に合わせてコミカルな動きや満面の笑みを見せるオープニング映像だ。当初は「クセ強すぎ…」などの声が目立ったものの、物語が進むにつれて「だんだんかわいく見えてきた」「愛おしい」などの声がうなぎ上りに。
「このオープニング映像は、放送当時から『萬平さん目線の福子では⁈』という意見が飛び交っていました。若い時から変わらずキュートで人となりのよさがにじみ出ている魅力的なヒロイン。夫の萬平さんは即席ラーメンを開発した超有名人ではありますが、それを凌駕するヒロイン性を福子が放っていたという点で、ヒロインが最後までヒロインたる稀有な“夫婦もの”でした」
今作『あんぱん』でも「たっすいがー」の嵩を「はちきん」ののぶが引っ張る構図が見られそうだが、25日に放送された第63回では、傷ついたのぶに嵩が優しく寄り添う姿が描かれていた。今作はどのような夫婦の姿が描かれるのか。2人の歩みに目が離せない。
取材・文/木下未希