朝ドラは流行語が“豊作”つづきの状態
アンパンマンの生みの親・やなせたかしとその妻・暢(のぶ)をモデルにした2025年度前期の朝ドラ『あんぱん』。高知を舞台に「たっすいがー」や「たまるか」など、数々の土佐弁ワードが展開されたが、流行語にノミネートされたのは、「またね」を意味する「ほいたらね」だった。
この選出理由について、朝ドラ評論家の半澤則吉さんが解説する。
「『ほいたらね』は、劇中の台詞のみならず、ナレーションでも多用されました。語りを担当した林田理佐アナウンサーの多種多様な『ほいたらね』が注目されただけでなく、ヒロインの祖父・釜次が亡くなったシーンでは、『ほいたらね』のナレーションが釜次の声に差し替えられるなど、出演者とうまく絡めてSNSで話題を呼んでいたのも選出理由の一つでしょう」
近年では、2013年の『あまちゃん』のヒロイン・天野アキによる岩手県北三陸地方の方言「じぇじぇじぇ」の大賞受賞を皮切りに、2014年『花子とアン』から「ごきげんよう」、2016年の『あさが来た』から「びっくりぽん」、2024年『虎に翼』から「はて?」がノミネートされるなど流行語が“豊作”つづきの状態だ。
「『あまちゃん』ブームをきっかけに、ヒロインの口癖や決まり文句が定番化していきました。特に方言の台詞が注目される朝ドラでは、その“象徴”として話題性を作り、繰り返すことで面白さや親和性が生まれる。さらにドラマの方向性を決めるナレーションで多用することで、人々の記憶に刻まれやすい効果もあります」(半澤さん、以下同)
流行語は、ヒロインの決め台詞だけにとどまらない。2010年には『ゲゲゲの女房』ヒットの象徴として『ゲゲゲの~』が大賞を受賞。2022年は『ちむどんどん』から「#ちむどんどん反省会」が選出され、今では放送後の「#朝ドラ反省会」がSNSで定番化した。さらに2023年の『らんまん』では、ラストシーンで植物図鑑に掲載された植物名「スエコザサ」も選ばれた。













