「ヤマト建設定時取締役会!」(集英社文庫・コミック版2巻収録)
30年前から変わらないパスワードとの格闘
いまや絶滅危惧種とも言われる公衆電話ボックス。公衆電話の設置台数は、1985年の約93万5千台をピークに減少し、現在では10万台を切っているという。
数字だけ見ればまだ多いようにも思えるが、ここ数年は年間1万台近いペースで減少しており、減少のスピードはむしろ加速している。
当然だろう。携帯電話がここまで普及した以上、公衆電話を使う機会はかなりまれだ。若い世代の中には、「テレフォンカード」と聞いても、それが何なのか分からない人もいるらしい。
さて、『サラリーマン金太郎』第18話では、そんな電話ボックスが大活躍する。それも、通話のためではない。実は電話ボックスには、もうひとつの使い道があった。
この回で石川は、大量のテレフォンカードを積み上げ、電話ボックスの中でパソコンを操作している。何をしているのかといえば、公衆電話の回線とパソコンを有線でつなぎ、インターネットに接続していたのだ。
いまではWi-Fiもスマートフォンも当たり前。外でパソコンを開けば、すぐにネットにつながる。
しかし当時は違う。自宅でも電話線とパソコンをつなぐ必要があった。外で通信をするなら、公衆電話を探すしかなかったのである。
当然、接続しているあいだはテレフォンカードの残高がみるみる減っていく。インターネットは、手間もお金もかかるものだった。
ちなみに、いまも電話ボックスが残されているのには理由がある。令和4年4月から設置基準が変更され、一般の公衆電話は縮小された一方で、その分の費用は避難所などに設置される「災害時用公衆電話」の維持に回されている。公衆電話は、日常の通話手段というよりも、非常時のインフラとして位置づけられているのだ。
大活躍を見せた電話ボックスの雄姿。その時代の空気をビンビンに感じる第18話を、ぜひ読んでほしい。























