ポイントは、支払われた代金にSNS広報の対価が含まれるのか否か
折田氏のnoteには、斎藤氏自身が選対幹部も務めたとされる側近のK氏ととともにmerchuを訪問し、折田氏からレクチャーを受ける場面の写真も掲載されている。
問題が拡大すると、斎藤知事は『法に違反するような事実はないと認識している』『代理人に対応をお願いしている』とだけ述べ、折田氏との関係を今も説明していない。
代わりに登場した代理人の奥見司弁護士は、note書き込みから1週間後の記者会見で、斎藤陣営が「ポスターデザイン制作」などの名目で計71万5000円をmerchuに支払ったと説明した。
ただ奥見氏は、折田氏はSNS広報をボランティアで行なっただけで、主体的な関与もないと主張し、違法性を否定。折田氏はnoteで自分の役割を大きく見せるため「盛った」とも主張した。
斎藤知事側の主張が出たのを見て、自民党の裏金問題を暴いたことで知られる神戸学院大の上脇博之神戸学院大教授と、元検事の郷原信郎弁護士が昨年12月初旬に兵庫県警と神戸地検に告訴状を送付。そこに書かれた容疑が今回の家宅捜索に直結する。
上脇氏らは、斎藤知事は買収罪に、折田氏は被買収罪に、それぞれ当たると告発状で指摘。
選挙前に斎藤氏本人が折田氏から『SNSの利用について選挙で協力できる』との内容の説明を受けていたことがnoteに書かれていることなどを根拠に、支払われた71万5000円はSNSを含む選挙運動への報酬で、買収にあたると説明した。
「SNS広報をmerchuが会社業務として主体的、裁量的に行なったのか、それとも折田氏が個人のボランティアとして行なったのか。さらに、支払われた代金にSNS広報の対価が含まれるのか、が違法性があるかどうかを判断するポイントになります」
そう話す法曹関係者が続ける。
「SNS広報が業務として行なわれたどうかに関しては、選挙の約1か月前の昨年10月、斎藤陣営にSNS戦略での協力を申し出た上原みなみ神戸市議に対し、斎藤知事のmerchu訪問にも同行したK氏が、『昨日の会議内容 SNS監修はメルチュさんにお願いする形になりました』とのLINEを送ったことが関係者の証言で発覚しています。
監修を個人である折田さんではなく会社であるmerchuに頼む、ということは、業務として発注されたことをうかがわせます。
一方ネット広報が専門のmerchuの社長である折田氏は、1ヶ月にわたり選挙に張り付いていたとSNSで話しています。その対価が71万円というのは安すぎるという見方もあります。実質的な報酬ととらえられるもっと大きな金の動き確認することなどができなければ、SNS広報を仕事として発注したと言えるのか、議論の余地があるでしょう」(同関係者)