文書によって誹謗中傷が激化した可能性も

この文書のなかで名指しで非難された竹内英明元県議は、県議会特別調査委員会(百条委)で疑惑解明の先頭に立っていたが、選挙中に激化したSNSでの誹謗中傷や電話、メールによる非難に耐えられず、「家族を守る」として選挙翌日の昨年11月18日に県議を辞職した。

昨年9月6日、兵庫県議会百条委に証人として出席した斎藤元彦知事と竹内英明県議(右端) 撮影/集英社オンライン
昨年9月6日、兵庫県議会百条委に証人として出席した斎藤元彦知事と竹内英明県議(右端) 撮影/集英社オンライン
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竹内氏に対してはその後も自宅前にゴミがばらまかれるなどの攻撃が続き、竹内氏は今年1月に急死した。

同僚県議は「竹内さんへのデマ交じりの誹謗中傷は知事選に立花氏が立候補した後、激化した」と証言しており、文書の内容を立花氏が拡散したことが影響した可能性がある。

問題の文書は、立花氏が昨年11月5日にYouTubeで一部を黒塗りにして公開した。当時立花氏は「斎藤さんを応援する」と言って知事選に出馬していた立候補者の状態にあった。

昨年11月5日、立花孝志氏がYouTubeで公開した文書
昨年11月5日、立花孝志氏がYouTubeで公開した文書

文書の内容は、斎藤知事のパワハラや公金不正支出疑惑を告発した元西播磨県民局長・Aさん(60)が昨年7月に自死したことを挙げ、”百条委メンバーの県議がマスコミへのリークなどでAさんの自死を斎藤知事の責任に見えるように印象操作している”とするものだ。

その「黒幕」として竹内氏を筆頭に4人の県議の名を挙げ、「知事失職が彼らの最終的な狙い」と強調している。

さらに「元県民局長(Aさん)は過去10年以上にわたって複数の職員と不倫」「証拠はすべて公用パソコンにあり」などと書かれている。

公用パソコンとは、匿名の告発者を特定せよとの斎藤知事の指示を受けた当時の片山安孝副知事(昨年7月に辞職)がAさんから取り上げた、県公用パソコンを指すとみられる。

「立花氏が選挙中に街頭演説で話し、YouTube動画で拡散させた話は文書の記述に沿ったもので、これをさらにふくらませた内容のものもありました」(地元記者)

昨年11月16日、兵庫県知事選で街頭演説をする立花孝志氏 撮影/集英社オンライン
昨年11月16日、兵庫県知事選で街頭演説をする立花孝志氏 撮影/集英社オンライン