「激走!模名古村三輪レース!!の巻」(ジャンプ・コミックス第70巻収録)
今回は、日本の復興と高度成長期のシンボルともいえる自動車、オート三輪を使ったレースを描いたお話をお届けする。
オート三輪とは、1930年代から1950年代にかけて隆盛を極めた三輪貨物トラックの、日本での総称だ。前輪が一輪、駆動輪である後輪が二輪で、バイクと同様のバーハンドルと単座が特徴。
安価・軽量で小回りが効くため、狭い悪路の多かった日本では非常に重宝され、高度成長期と働く人々の活気を象徴するアイコンとなった。
1950年代からは一気にエンジンや車体が大型化し、積載量も増加。その一方で、ダイハツのミゼットのように小型軽量ながら丸形ハンドルや二座席を採用する車種も登場し、軽三輪トラックブームを起こした。
だが1960年代に入ると、軽四輪貨物車が相次いで市場に投入され、やがてオート三輪の時代は終焉を迎えることとなる。
本作で両さんが買いつけてレースに出走した「マツダ・T600」は、マツダ初の軽三輪トラック「K360」の荷台長と排気量を拡大したモデルだ。日本では1971年に販売終了となったが、ミャンマーでは1990年代までライセンス生産が行われていた。
ちなみに、本作におけるレーススタート時のコマには、1910年代から1930年代にかけて製造された小型車「サイクルカー」や、第二次世界後の「バブルカー」といった、乗用を主目的とした三輪自動車群も描かれている。
それでは次のページから、オート三輪によるレトロながらもワイルドなレースをご堪能ください!!