常識を一変させたトランプ大統領
トランプ大統領は日本に24%、EUに20%、イギリスに10%、中国には発動済みの20%に加え、34%を上乗せすると発表し、貿易戦争の懸念が高まっている。
1930年代、アメリカは大恐慌などを背景として保護主義政策に傾き、関税の引き上げに動いた。しかし、世界の分断を招いた保護主義は第二次世界大戦の一因ともなり、その反省から1948年にGATT(関税及び貿易に関する一般協定)が発足。
それがやがてWTO(世界貿易機関)体制へと受け継がれ、自由貿易が推進されたことは高校生の教科書にも書かれている。
トランプ氏が再び大統領に就任してから3か月も経たない間に、これまでの常識が塗り変えられているのだ。世界は正に歴史的な転換点を迎えている。
これはコロナ禍以来に起きた衝撃的な出来事で、テレビで特番が組まれてもおかしくはないほどだが、日本国内では意外なほど関心が低い。多くの人にとっては蚊帳の外のことだと感じているのかもしれない。
しかし、関税の発動によって企業活動は停滞し、庶民には「負のインパクト」となって跳ね返る可能性が極めて高い。
財務省の貿易統計によると、2024年のアメリカへの輸出総額は21.2兆円だ。関税によって5兆円もの負担が生じることになる。関税のコスト負担をするのは、輸出する側の企業かアメリカの消費者だ。
つまり、企業は価格を引き下げて従来に近い値段で消費者に販売するか、消費者が高い輸入品を購入するかのいずれかになる。