16の言動のうち10件はパワハラに該当すると判断 

斎藤知事の問題は、約1年前の昨年3月12日、当時定年退職を間近に控えたAさんが匿名でパワハラや公金不正支出疑惑など7項目を書いた告発文書を、県警や県議、メディアなど10か所に郵送して始まった。 

この告発内容の真偽を調べるため県議会は調査特別委員会(百条委)を昨年6月に設置。第三者委員会はこれとは別に昨年9月に発足し、斎藤知事本人ら関係者の事情聴取を行なうとともに情報を受け付けるホットラインを設置。ここに116人の現・元職の県職員が情報を寄せたという。 

その結果、第三者委は告発文書に記載があったものを含め、パワハラの疑いがあるとみた16の斎藤知事の言動を分析し、うち10件はパワハラに該当すると判断した。

3月5日、兵庫県議会本会議に向かう斎藤元彦知事(撮影/集英社オンライン)
3月5日、兵庫県議会本会議に向かう斎藤元彦知事(撮影/集英社オンライン)
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「斎藤知事は、県幹部らとの会議会場の建物のそばまで公用車が入れず、20m歩くことになったとして県職員を叱りつけたことが告発文書に書かれていました。

その他にも、すでに予算化されている県の施策について『こんな話聞いていない』『資料に入っていたら知事が全部知っていると思わないように』と担当者を叱責し、予定された協議に入らなかったなど、部下の立場からすればどうしようもないような言動も第三者委の検討の対象になりました」(地元記者)

こうした行為を報告書は「指導の必要性がない」「怒りに任せて職員を論難した」「相手の職員に精神的衝撃を与え、職員は畏怖し、その職場環境は悪化した」としてパワハラに当たる、と判断した。

「3月5日に県議会本会議が了承を議決した百条委報告書も、斎藤知事のパワハラについて、『パワハラ行為と言っても過言でない言動があった』と事実上のクロ認定をしていますが、それよりも明確に不当性を指摘しています」(地元記者)

一方で、パワハラと同時に目を引いた斎藤知事のおねだり疑惑については、贈収賄と評価できる事実はないとして、違法性は認められないと第三者委は判断した。

ただ「斎藤知事による贈答品の要望とも受け取りうる発言が複数件で見受けられ、農産物や食品関係を多く贈与されて自己消費していたことは事実」と明記。

「斎藤知事は漁協を訪れた際に用意されたお土産のズワイガニを、受け取りを辞退した随行職員の分まで持って帰っています。県との間で一定の利害関係がある組合から贈与されたものだけに『違法な収賄とはいえなくとも、知事も受領しないことが望ましかった』と、ほとんど“グレー”認定です」(県議会関係者)

兵庫県内の視察時にズワイガニを持つ斎藤元彦知事(2023年9月の斎藤知事のSNS)
兵庫県内の視察時にズワイガニを持つ斎藤元彦知事(2023年9月の斎藤知事のSNS)