糖質制限ダイエットは死亡率を高める

日本では、「糖質制限ダイエット」が根強い人気を博している。

しかし、私はおすすめしない。体重を減らすという目的は達成できるかもしれないが、死亡率が高くなるなど健康を害してしまうリスクが報告されているからである。

さらに言うと、たしかに糖質制限では比較的短期間で体重減少やウエストが細くなったことを実感できるかもしれないが、6か月以上継続することが難しいことも知られている。

ここでは「炭水化物」に注目して、研究から分かっていることを説明する。

ご飯、パン、麺類などの炭水化物は食事の中で大きな割合を占める重要な要素である。なんとなく炭水化物は身体に悪い、もしくは太る原因になると思われていて、悪者にされがちなのだが、実はこの理解は間違っている。

最新の科学では、炭水化物をうまく選んで味方につけることで、空腹をがまんするなどのストレスを感じることなく、健康になり、痩せることができると考えられているのだ。

炭水化物の中には、白米や小麦粉などのような「精製された白い炭水化物」と、玄米や全粒粉、蕎麦のような「精製されていない茶色い炭水化物」の2種類がある。そして前者は健康に悪いのに対して、後者は健康に良いという180度逆の影響がある。

白い炭水化物を食べている人ほど、糖尿病のリスクが高く、死亡率も高いことが知られている。

一方で、茶色い炭水化物を食べている人ほど、逆に糖尿病のリスクが低く、大腸がんのリスクや死亡率も低いと報告されている。これは、茶色い炭水化物の外皮などに含まれる不溶性の食物繊維やその他の栄養素が健康に良いからであると考えられている。