「浅草七ツ星物語の巻」(ジャンプ・コミックス第76巻収録)
「こち亀ラブストーリー」第1回目は、主人公・両津勘吉の恋バナをお届けする。
とはいっても、ご覧いただくのは、両さんが純粋無垢な少年の頃のお話。「週刊少年ジャンプ」1991年42号に掲載された連載750回記念作である。懐かしい昭和の風景と淡い初恋が叙情的に描かれた珠玉の一編だ。
浅草花やしきは、1853年に牡丹と菊細工を主とした花園として誕生。日本で最初の遊園地とされている。両さんの生家は浅草の千束で佃煮屋を営んでおり、花やしきは庭みたいなものだった。彼はここで出会った旅の芝居一座座長の娘・琴音と、次第に惹かれあっていくのだが……。
のちに、連載1000回記念突破記念作として「週刊少年ジャンプ」1996年52号に掲載された「古都の走馬灯の巻」(ジャンプ・コミックス第102巻収録)では、両さんは琴音に会うためにチャリで京都に向かい、みごと再会を果たしている。
大人になった両さんからはとても想像できないが、少年期は意外と恋多き男子だった。年上のお姉さんや美しい臨時教師に心惹かれるエピソードも存在する。だが、子どもの頃の両さんにとってのマドンナといえば、古手のファンにいわせると「琴音に尽きる」とのこと。
なお、本作は「週刊少年ジャンプ」掲載された際には全26ページだったが、コミックス収録にあたって加筆され、全30ページの構成となっている。作者にとってもこだわりのある一編であることがうかがえる。
それでは次のページから、少年・両津勘吉の恋バナ代表作をお楽しみください!!