政治活動を支えてきた妻は、嗚咽しながら声を振り絞った

「私たちは所属(政党)もなく、スタッフも、力もありません。そこを彼は一人でやっていました。なすすべがなかったんです…」

竹内氏の事務所を守り、二人三脚で政治活動を支えてきた妻は、嗚咽しながら声を振り絞った。

学生時代から秘書として政治に関わり、姫路市議を経て県議5期目だった竹内氏は、明るく豪放磊落な性格で、多くの人から相談事を持ち込まれる存在だった。

8月30日、兵庫県議会百条委員会で斎藤元彦知事が片山安孝元副知事の前で投げつけたものと同じサイズと見られる付箋を示す竹内英明県議(撮影/集英社オンライン)
8月30日、兵庫県議会百条委員会で斎藤元彦知事が片山安孝元副知事の前で投げつけたものと同じサイズと見られる付箋を示す竹内英明県議(撮影/集英社オンライン)
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「竹内さんの独自の情報は委員会を引っ張ったといっても過言ではありません。昨年3月に疑惑を外部に告発した元西播磨県民局長・Aさん(60)に対し、公益通報者保護法違反の疑いがある調査を行なった片山安孝副知事(昨年7月に辞職)らが、Aさん以外にも5人の県職員のメールを1年分、本人に無断で見ていた事実をつかみました。それを百条委で突きつけられた片山氏は否定できませんでした。

さらに、斎藤知事が片山副知事に対しても激怒して目の前で付箋を投げたという、知る人が極めて限られる事実も暴露しました。多くの県職員が竹内氏を信じて情報を寄せていました」(在阪記者)

告発者のAさんは昨年7月に自死とみられる死を遂げてしまい、告発文書に登場する県課長・Bさん(53)も昨年4月に同様に亡くなっている。ふたりと高校の同窓で交流があった竹内氏は、生前、ふたりの死の背景にあるものを必ず明るみに出したいと口にしていた。

だが昨年9月に県議会の不信任決議を受け失職した斎藤氏が出馬した11月の出直し選挙で、「疑惑は全部うそで、斎藤氏はハメられた」として竹内氏らを攻撃する誹謗中傷がSNSで広がった。

斎藤支持者に“主犯格”として拡散されていた
斎藤支持者に“主犯格”として拡散されていた

「NHK党党首の立花孝志氏が、Aさんが複数の女性に不同意性交をしていたなどと演説し、動画でその主張が出回りました。さらにAさんと交友があった竹内さんは、『斎藤を貶めた主犯格』というデマ交じりの動画のサムネイルに顔写真が使われるなど標的にされました。こうした動画に影響されたと思われる人たちが竹内さんの事務所に非難や脅迫の電話をかけてきたんです」(県関係者)