年パス復活なら“ガチ勢”御用達のパークに?

今年4月に代表取締役社長に就任した高橋氏は、今回が就任後初の報道陣対応。パークチケット価格について、昨今の物価高に応じて「単なる値上げではなく、季節ごとの券種を導入するなど、多様な価格設定を検討している」と述べた。

注目されたのは、2020年7月に廃止された「年パス」の復活にも言及した点だ。かつて常連客に親しまれたチケット制度だけに、関心が集まった。高橋社長は「熱心なファンにどう来てもらうかも考える」と語り、復活の可能性をにおわせた。

現在、東京ディズニーリゾートは混雑状況に応じて価格が変動する「変動価格制」を採用しており、大人1人あたり7900円〜1万900円の6段階に分かれている。この制度は2021年に本格導入されたもので、混雑の緩和が狙いとされている。

東京ディズニーランドの開園は1983年。当時の1デーパスポート(大人)は3900円だった。その後、段階的に値上がりし、2001年の東京ディズニーシー開園時には5500円。2019年には消費増税の影響で7500円に達し、さらに2021年以降は変動制の導入により、現在の価格帯に至っている。

これに加えて、アトラクションの待ち時間を短縮できる有料の「ディズニー・プレミアアクセス(DPA)」は、対象アトラクションごとに1回1500円〜2000円。パレードやショーにも有料エリアが導入され、近年では「ディズニーに行くと一度で2万円はかかる」とも言われる。交通費や宿泊費がかさむ地方在住者にとっては、相当高額な“レジャー”となってきた。

年パス復活をめぐって大激論(画像/ Shutterstock、以下同)
年パス復活をめぐって大激論(画像/ Shutterstock、以下同)

こうした背景の中で、もし年パスが復活したら──。SNSを中心に、賛成・反対両派の声が沸き起こっている。まずは反対派だ。

「ディズニーでは現在、DPAなど複数のシステムを使って人気アトラクションを楽しむ形式になっており、初心者には非常に複雑です。パーク内ではみなスマホとにらめっこ状態で、“情報戦”と化しています。その結果、慣れたマニア層が得をし、初心者は不利になりがちです。

さらに、年パス利用者は食事やお土産などをあまり買わず、売上への貢献が少ない一方で、遠方から来る初心者や一見さんは、しっかりお金を落としてくれる“いい客”。そうした層を大事にすべきとも思います。

また、年パスを発行していた時代にはマナーをめぐるトラブルも多く、SNSでの“オタク同士のバトル”が絶えませんでした。廃止後はパークの雰囲気が改善され、『治安がよくなった』という声も多い。今や平日でも混雑している中、特定の客層を優遇するような年パスは必要ないと思います」