会場で完結せず、考察することで怖さが深まる

高木 会期中は「#その怪文書を読みましたか」のハッシュタグをつけた考察や感想がSNSにたくさん投稿されて、長文で考察記事を書く人もいました。ただ観覧するだけでなく、会場を出たあとも考察したり、さらに情報を集めたりすることで、来場客の心に残るイベントになったのではないかと思います。

「怪文書を壁一面にベタベタ貼って、通行人を嫌な気持ちにさせたい」伝説的イベント『その怪文書を読みましたか』の仕掛け人に聞く、新しいホラーエンタメの形_04
イベントでは、オリジナルの怪文書を制作できるスペースやA4サイズの怪文書を入手できる「怪文書ガチャ」も

 「考察」や「解説」というのは、ここ10年くらいの流行だと感じています。ただ、私としては「意味がわかると怖い」というだけのホラーにはしたくなくて。この展覧会も、意味がわからない不気味さがあり、考察して意味がわかるとまた違う怖さが味わえるように設計しました。

実際に足を運んでくれたお客さんの中には、「よくわからなかった」という方もたぶんいらっしゃると思うんです。でも、それはそれでよくて。「変な貼り紙いっぱいあって怖かった」という感覚だけでも、イベントを十分楽しまれたのではないでしょうか。

「怪文書を壁一面にベタベタ貼って、通行人を嫌な気持ちにさせたい」伝説的イベント『その怪文書を読みましたか』の仕掛け人に聞く、新しいホラーエンタメの形_05

–––SNSなどで話題になったこともあり、開催期間中は大行列ができていたんですよね。

 正直、ここまで人が集まるとは思っていませんでした。日によっては入場まで6時間待ちだったそうで……。

高木 入場整理券を求めて毎日長蛇の列ができていたんですよ。東京会場では16日間で合計3285名が来場したんですが、女性の観客が6割を超えていたのが興味深かったです。僕が会場にいたときは、女性がすごくワクワクしながら怪文書を眺めていて、一緒に来た男性は戸惑っている、という光景もよく見られました。