「必要なモノを必要な人に届ける」ことを意識して活動を…


同地区だけではなく、珠洲市内はどこを歩いても壊滅状態だった。宮城県石巻市のNPO法人「MAKE HAPPY」の理事長をつとめる「かごしマン」こと谷口保さん(47)は、能登半島地震を受けて3日に現地に入り、避難所への物資の運搬を行なっているという。

「かごしマン」こと谷口保さん(撮影/集英社オンライン)
「かごしマン」こと谷口保さん(撮影/集英社オンライン)

「当団体では現在、後方支援をふくむ数十人のメンバーとともにカップラーメンやレトルトカレーの他、野菜や調味料といった避難所への支援物資の運搬を行なっています。これまで東日本大震災や熊本地震などの災害現場で活動を続けてきましたが、とくに意識しているのが、各避難所が必要な救援物資の『ニーズ』に対応すること。今回も、市街地にある避難所では『火』が使えないので、カップラーメンやレトルトカレーを求める声が多いのですが、集落にある避難所は違います。

住民たちが集まり、火を起こして炊き出しを行なっているところも少なくないので、そういった場合、野菜や調味料といったモノを求める声が多い。そうしたいろいろなニーズに対応し、『必要なモノを必要な人に届ける』ことを意識して活動を続けています」

また、ある被災現場には「静岡県議会」とロゴの入った作業着姿の男性がいたので声をかけてみた。

「私は昨日被災地に入り、車中泊をしました。静岡からですと6時間くらいで石川県に入れるんですよ。29年前の阪神大震災の際は車に自転車を積んで現地入りし、被災地を回りましたし、東日本大震災でも、翌日に現地入りしました。新潟から山形を抜けて宮城に入った形です。宮城では炊き出しなどにも参加し、被災地を見て回りました」

この県議は家業が電気店で、その知識と経験を活かして被災地で役に立てるのではないかという思いで、これまでさまざまな被災現場を訪れてきたという。

「車の中には鉄を切ったりする工具もありますし、燃料タンクなども積んでいます。今回、静岡県からは緊急消防援助隊68隊239名が珠洲市に派遣されていて、何かできることがあればという思いもあります。それに静岡県には駿河湾地震がありましたし、南海トラフ地震の可能性がありますよね。こうして被災地を訪れるのは静岡にも十分起こり得る可能性のあることとして見聞を深めるという目的もあります。さまざまな状況を見ておけば、いざというときに対応を取りやすい。いろいろな現場を見てきましたが、珠洲市の被害はひどい状況だとは思います。いずれにせよこうして見て回ることで危機管理の意識ができる」

被災した多くの地域ではボランティアの受け入れ態勢が整っていないのが現状で、県議の行動には賛否がわかれるところだろう。だがこうした人々の善意が少しでも被災地の役に立ち、望むわけではないが、次なる「現場」への教訓に繋がることを祈らざるを得ない。

避難所に届いた物資(撮影/集英社オンライン)
避難所に届いた物資(撮影/集英社オンライン)

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班