「仲間内では『トミー』の愛称で呼ばれていた」
「〝特殊詐欺Gトップ〟タイで身柄拘束 強制送還へ」。3月20日、こんな見出しで初報を伝えたのは日本テレビだった。これを皮切りに、TBS、フジテレビ、テレビ朝日と在京テレビ各局が追随した事件のあらましは以下のようなものだった。
「タイ警察に身柄を拘束されたのは山口哲哉容疑者(46)でした。山口容疑者には電子計算機使用詐欺などの容疑で埼玉県警から逮捕状が出ており、警察庁を通じて現地の大使館からの要請でタイ警察が動いていました。
3月14日までに、山口容疑者が滞在していたバンコクで取り押さえられ、タイ警察が3月20日に会見を開いたことで事案が発覚。すでにタイでの滞在許可を取り消され、日本に強制送還される予定であることも明らかにされました」(全国紙社会部記者)
複数のメディアが報じたところによると、山口容疑者はカンボジアを拠点とする特殊詐欺グループを率いていた疑いがあり、タイをはじめとしてベトナムやミャンマーなど東南アジア諸国を行き来した形跡もあるのだという。
注目を集めたのは山口容疑者が、警察庁が暴力団に準じる反社会勢力とする「準暴力団」、いわゆる“半グレ”と位置づけている「関東連合」の元メンバーだと報じられた点だ。どんな人物だったのか。
「山口容疑者は、本名とは別に『冨沢哲也』という通称を用いており、仲間内では『トミー』の愛称で呼ばれていたようです。過去にも特殊詐欺での逮捕歴があり、(関東)連合内では資金面でメンバーの活動を支える存在でもありました。
彼は、警察庁が「重要指名手配被疑者」としてその行方を追う見立容疑者とは少年院時代からの知り合いで、同じ昭和53年世代ということもあり、かなり打ち解けた仲だったといいます。事件後に分裂した連合内で、『見立派』の急先鋒として動いており、反目する形となった元メンバーの襲撃に関わったこともあったとか。
タイの現地メディアによると、バンコクでは高級住宅街のサトーン地区で月額家賃が70万円超の高級マンションに住み、身柄拘束時には仮想通貨などで1億円超の資産も保有していたとも報じられている。美術品の売買を行なうウェブサイトを運営しており、マネーロンダリングをしていた形跡もあります」(同前)