距離感覚がわからない後遺症…昔はクマとは無縁の生活だった

現在の高橋さんは体調は回復し、歩行もできるようになったが、右目を失ったことで日常生活に支障をきたすようになってしまった。

「距離感覚が掴めなくて、歯ブラシに歯磨き粉を付けるのにも苦労しています。上からチューブを押し出しても、歯ブラシの横にスーッと落ちちゃう。あと自動車のドアのガラスを横目で確認することもできないので運転も厳しい」

高橋さんの口調は明るくフランクだったが、それでも従来できていたことが急にできなくなる事実は、なかなか受け入れがたいに違いない。

「子育て罰」を可視化する扶養控除制度…親が稼ぐほど子どもが損をする日本の教育費の行く末_2
写真はイメージです

高橋さんは生まれてから78年、ずっとこの地に住み続けている。30年以上猟師としても活動しており、イノシシなどの害獣を狩猟していたが、これを機に銃砲所持許可証を返納することにしたという。

しかし、今回のように自宅付近でのクマの目撃はおろか、猟師をしているときもクマを見かけることは非常に稀だったんだとか。

「子どものころは、クマが人里に出没したなんて話は聞いたこともなかった。猟師をしているときに山で数える程度だけど、見かけたことがあったぐらい。

それが変わり始めたのは15年くらい前から。クマは柿が大好物だからね、柿の木に爪跡が残っていると『今年も出てきたな』とわかるんですよ。それでも3~4年に1回とかそんなペースで、頻繁に出るワケじゃないです。

時期も夏から秋にかけての時期が一番多かったんで、今回みたいに6月はちょっと早い気もする。早めに冬眠から覚めて、餌を求めて歩いているのかもしれんな」