「無関心こそ最大の悪」
――須賀川さんは戦場記者として現地で見たものを発信されている一方で、X(旧Twitter)上に寄せられる“クソリプ”にも律儀に反応されていますよね。
彼らもいち視聴者であって、この戦争に対して多くの日本人が無関心である中で超ありがたい存在と思ってます。僕は、「無関心こそが最大の悪」と考えていて、もちろんX上でそれ以上のやり取りは望めませんが、少しでも関心を持ったり、議論が広がっていくことのほうが重要なんです。なので、クソリプはクソリプだけど、そこは「しょうがねえな」って感じで、僕としては割り切っているところがありますね。
――なるほど。「最大の悪は無関心」ですか。
はい。逆に、Xはそこに風穴を空ける力を持ったメディアじゃないかとも思っています。地上波はもちろん、YouTubeやXなどのSNS、いま準備中のドキュメンタリー映画や、TBSがニュース配信プラットフォームとして力を入れているTBS NEWS DIGに関しても、情報の刺さり方や広がり方においてすべて指向性が違うんですよね。
僕が見ているのはシンプルで、難民支援と紛争早期解決です。どんな形であれ、それに繋がるのであれば、かっこよかろうが、かっこ悪いかろうが、別に何でもいいと思っています。
――ハマスがイスラエルに侵攻した10月7日は、どこにいたんですか?
家族で親戚の法事をしていたんですよ。終わってから携帯電話を確認したら、着信がたくさん入ってて、「ハマスが越境した」と。その文字を見た瞬間に「これはとんでもないことになった」と直感しました。
すぐにTBSの外信部長に連絡して、「須賀川見たか?」「見ました」「やばいな」「やべえよ」「やばいっすね」って、「やばい」だけの応酬が10回ぐらい続いて。パレスチナ問題や中東和平を研究している人はみんなそうだったと思いますが、相当な数の人が死ぬということが瞬時にわかってしまったんですね。だから、いま起きていることは、まったく予想外のことではありませんでした。