クマが人間の生活圏内へと近づいてきている
事件当日の様子について、県警関係者はこう話す。
「17日20時55分ごろに、この住宅に住む男性から『夕方から妻の姿が見当たらない』との通報があり、駆けつけた警察が自宅周辺を捜したところ、女性が敷地内の屋外に倒れているところを発見。女性は頭と顎に深い傷があり、ご家族に見せるには非常に心苦しい状況であったため身元確認は行いませんでした。今後、司法解剖を行なって身元と死因を特定します。
同日17時30分ごろに現場から数百メートル付近の別住宅の敷地内でもクマの目撃情報が寄せられ、警察もそのクマを目撃していたため、周辺をパトロールしていた矢先の事件でした」
富山市役所の森林政策課の担当者は「県ではツキノワグマ出没警報を9月末から2度発令していました。クマの目撃情報は10月に入ってから、江本周辺だけで10件はあった」と言う。
「事件のあった江本に近い同市大沢野町付近でも10月には28件、大山町付近でも20件ほど、足跡やフンを中心としたクマに関する目撃情報がありました。
警察の発表では岐阜県との県境周辺も含めて、今年に入って3件ほどの人的被害があったとのことです。事件のあったエリアは平地で小中学校だけでなく養護施設などもあるのですが、昨今はクマが確実に人間の生活圏内へと近づいてきていると感じます」(森林政策課)
今年は富山県内全域でブナやコナラのドングリが不作。同県では「クマが餌を求めて人里に出るかもしれない」と注意喚起をしていた。