“山の家”周辺、シカは野良猫よりもありふれた存在

ふだん暮らしている東京・世田谷区の家とは別に、山梨県・山中湖村に“山の家”を設け、デュアルライフをはじめたのは2017年春のこと。
それから足かけ7年になるので、山の家周辺でさまざまな野生動物を見かけることには、もうすっかり慣れました。

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冬の気配に包まれ始めている山の家
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野鳥に言及するとキリがなくなるから哺乳類に限ると、もっとも頻繁に遭遇するのはシカです。
シカときたら、こっちでは野良猫よりもありふれた存在。その気になって家の周囲数百メートルを探すと、いつでもほぼ確実に見られるような感じです。
第一、我が家の庭は、シカが山から降りてくる際の動線になっているようで、明らかなけもの道があります。
村内ではシカによる食害や交通事故も多発し、増えすぎて困ったちゃん状態になっています。

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いつでも見られるシカの群れ

シカ以外の動物との遭遇頻度はぐっと低くなるものの、これまでにキツネ、イノシシ、リス、テンを何度も見かけました。
僕の“山の家”は、湖畔から歩いて10分ほど坂を登ったところに建っています。
そこは、一定の間隔をあけながら民家が並ぶ人里ですが、もう5分も歩けば人の立ち入らない山との境界線。
野生動物がその棲家である山奥からちょっと足を伸ばして闊歩していても、まったく不思議ではないような場所なのです。

それで、問題はクマです。
ご存じのとおり、今年は日本の各地で異常なほどクマの出没が多発しています。クマから攻撃される人的被害もたびたび発生し、由々しき問題として大きく報道されました。

大型動物であるツキノワグマは、タヌキやハクビシンのように人目を避けて隠れるように生きられるわけではないので、都会に定住はできません。
今年クマが出没した街も、その多くはクマが本来生息している山と接続しているような地域です。
ですので、都市生活者が多い現代の日本では、「クマが出るぞ!」というニュースも、ほとんどの人にとっては“他人ごと”だったはず。

僕自身も、仮に東京・世田谷区だけで暮らしていたら、当事者の皆さんには申し訳ないけど、他人ごとにしか思えなかったでしょう。
でも僕は、月に少なくとも1〜2回は、週末を“山の家”で過ごす身。
クマ問題は、まさしく“自分ごと”なのです。