指名されないゲンダイ記者
政治の節目に行われる首相の記者会見は、首相官邸の記者クラブ(内閣記者会)に所属していないメディアや登録済みのフリーランス記者も参加できる。ただ、コロナ禍以降、記者クラブ以外の記者は、抽選により毎回10人ほどに限定されている。
日刊ゲンダイは「日本雑誌協会(雑協)」に加盟しており、雑協を通じてほぼ毎回、参加を申し込んでいるが、抽選に当たるのは2回に1回。抽選に当たって出席しても、一度も質問できたことはない。どんなに挙手を続けても、司会を務める内閣広報官が指名してくれないのだ。
記者会見は「予定調和」だ。まず幹事社が質問し、記者クラブの全国紙や東京キー局の記者が複数人指名された後、海外メディア、地方紙、インターネットメディア、フリーランスと続き、最後に再び全国紙で終了する。幅広く質問を受けているように見えて、実際はパターン化されている。雑協の記者が質問できることはほとんどなく、ましてやゲンダイ記者は絶対に指名されない。どんな質問が飛ぶかわからないから怖いのだろうか。
正直、首相の記者会見はテレビやネットで視聴できるので、質問できないのにわざわざ出席するのは時間の無駄だが、参加しなければ権力側の思うツボだ。「常に見ているゾ」という意思表示のためにも、参加申し込みを続けている。
ある日、30代のゲンダイ記者が首相会見終了後に内閣広報官に話しかけようとしたら、広報官は無視して去っていったという。そこまで嫌わないでも……、と苦笑するしかない。