「アナタ、そんなことも知らないでここにいるの?」

手紙はA4用紙4枚、約3000文字にわたり、文末はジュリー前社長のサインで締めくくられていた。

ジュリー氏からの手紙
ジュリー氏からの手紙
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〈この度、叔父ジャニー喜多川により性被害にあわれた方々に、あらためて心からお詫び申し上げます。5月2日に被害にあわれた方とはじめてお会いしました。その後も色々と実際にお話を伺う中で、この方々にどのように補償をしていくのが良いのか、加害者の親族としてやれることが何なのか考え続けております。そしてジャニーズ事務所は、名称を変えるだけではなく、廃業をする方針を決めました(略)叔父ジャニー、母メリーが作ったものを閉じていくことが、加害者の親族として私ができる償いなのだと思っております〉 ※会見当日、配布された手紙より引用

ジュリー氏不在で進む会見に当初はざわつきもあったが、手紙を代読する井ノ原氏から「廃業」の言葉が出ると会場の空気が変わった。あのジャニーズ事務所が廃業する…少し前まで、いったい誰が想像しただろうか…。

ジャニーズ事務所は廃業するという
ジャニーズ事務所は廃業するという

筆者は、2022年まで約13年間、週刊誌記者として、何度もジャニーズ事務所と対峙してきた。言わずもがな事務所は揺るぎない帝国だった。スクープ記事を執筆しても、大手メディアは忖度し、後追い取材がないのは当たり前。
仮にジャニーズ所属タレントの熱愛スクープを書こうものなら、相手女性が所属する事務所の広報が「ジャニーズさんに迷惑をかけた」と肩を落とすのが通例だった。

また、ジャニーズ事務所元副社長の故・藤島メリー氏に呼び出され、執筆したスクープ記事について叱責を受けたこともあった。メリー氏は、少しでもこちらが異を唱えると烈火のごとく怒りだした。認識不足な箇所があれば「アナタ失礼ね」と叱られ、思いついたように突然クイズを出され、答えられずにいると「アナタそんなことも知らないでここにいるの?」と再び激高した。これまで自分が対峙してきた政治家、大御所タレント、拘置所で面会した凶悪犯よりも、正直、怖かった。

故・藤島メリー副社長
故・藤島メリー副社長

ジュリー氏も手紙で、母親でジャニーズ事務所の元副社長だった藤島メリー氏について「私が従順な時はとても優しいのですが、私が少しでも彼女と違う意見を言うと気が狂ったように怒り、叩き潰すようなことを平気でする人でした」と母との確執について触れ、メリー氏をライオン、自身をシマウマに例えた。