心得④パートナーとは「対等な関係」であれ

セックスは、パートナーと二人だけで行う「究極の共同作業」といえます。

年齢を重ねると会社では管理職になったり、独立をするなど社会的地位が増します。会社でもプライベートでも、気がついたら自分以外のメンバーは全員年下という状況も当たり前になります。そのような場では、年上という理由だけで、相手が自分に対して敬意を払ったり、ことさら丁重に接することもあります。それはそれでありがたいものですが、一方で、誰かと対等な関係で何かを一緒に成し遂げる経験が減ってしまうことに、一抹の寂しさを覚える人もいるでしょう。

そんな中高年にとって、パートナーと対等な関係で自分らしさを追求するセックスという営みは、とても貴重な場となります。

ですから、二人が互いに自分らしさを発揮できる場を形作るためには、そこに上下関係や主従関係を持ち込むのはご法度です。よく見かけるのが、セックスの主導権をすべて男性が握っているケースです。女性には「セックスをする/しない」の選択権がなく、セックスは夫の一方的な性欲に応えるだけの「お務め」と化すことも珍しくありません。

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お話ししたとおり、女性の場合、更年期に女性ホルモンのエストロゲンの量が低下することで腟分泌液の量も減って、性交時に痛みを感じることも増えますが、これは正常な反応です。そのような妻の変化に見向きもせず、性欲のはけ口にし続けた夫に対して、妻が性交痛を訴え、やがてセックレス化するカップルは少なくありません。中高年になって子育てが一段落し、「いよいよ夫婦生活も再開」と思った矢先、妻から「もうお務めは卒業させてください」と言われてショックを受けるといったケースもあります。

事実、中高年における配偶者間のセックスレスは進んでおり、臨床心理士の荒木乳根子氏が行ったパートナー間のセックスレスに関する調査によれば、50代のセックスレス(月1回未満)の割合は、2000年が45%だったのに対し、2012年ですでに77%にまで激増していました。もちろんセックスレスの原因はさまざまですが、そのひとつの要因に女性側がノーと言えるようになったという考察もあります。

セックスはプライベートなものですから、他の家庭の様子はなかなかうかがい知れないものです。そのため、夫婦の上下関係が、「こんなものか」と長期間にわたって固定化されてしまう側面があります。しかし、本来セックスは対等な関係で行う「共同作業」です。どちらが上、下ということはありません。長年、セックスの主導権を自分だけが握り続けた結果、ある日、愛想を尽かした妻に卒業宣言されてしまう……そんな事態だけは、なんとしても避けたいものです。