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「歓迎の踊り30万円!」 海外ロケには「不思議なお約束」が……
「あの探検隊」から現在まで続く「ビックリルール」の数々
海外ロケ番組の内容はあまり真に受けないでください。ヤラセとまでは言わなくても、そこにはまあまあたくさん「テレビマンしか知らない不思議なお約束」があるのです。
かつての大人気番組『水曜スペシャル 川口浩探検シリーズ』の頃はとてもわかりやすくお約束だらけでしたね。嘉門達夫さんの「ゆけ!ゆけ!川口浩!!」という歌でも歌われているように、洞窟の中にはピカピカに磨かれた白骨が転がり、底なし沼にハマる先住民の顔が笑っている……そんな世界でした。
かつて大先輩が、「金色の蛇にしたくてスプレーで蛇に色を塗ったら酸欠でグッタリして動かなくなった」という話をしているのを小耳に挟んだことがあります。さすがにいまはそんなことをしたらヤラセや動物虐待になってしまうので絶対にありえませんが、海外ロケでは「日本の視聴者にはわからないだろう」というなし崩し的なメンタルが働くのか、〝ちょっと演出が多め〟になりがちな面はいまでもあります。
たとえば「先住民たちの歓迎の踊り」みたいなシーンを番組でよく見ることがあると思います。私の知る限り、「遠く離れた日本からよく来たな」という純粋な気持ちで歓迎の踊りを踊ってくれる先住民の人はまずいません。そもそも、民族衣装のようなものを着て生活している先住民さんはまず存在せず、だいたいみなさん、我々と似たような洋服を着てスマホを器用に使いこなしている文明的な人がほとんどです。
ではなぜ彼らが「民族衣装で歓迎の踊り」を踊ってくれるかというと、コーディネーターからお願いされた現地有力者が、テレビの取材のために現地の人たちを〝調達〟してくれているからです。サービスで「歓迎の踊り」を踊ってくれるはずはないですから、当然謝礼は伴います。自分の経験と海外ロケ経験の多い仲間の話を総合すると、歓迎の踊り1回の相場はだいたい10万〜30万円です。