あと、有名な〝お約束〟で言えば、海外ロケには「タイアップ」というものが存在します。特定の企業や、ある国の政府観光局などが「宣伝してくれることとひきかえに」ロケに必要な費用の一部を支払ってくれるのです。ニュース番組などではあまりタイアップをしないようにしていますが、それ以外の番組では、多かれ少なかれタイアップなしでの海外ロケは成り立ちません。

いちばん典型的な例は「無料航空券の提供や料金の割引」と「ホテル宿泊代の免除あるいは割引」です。番組で「飛行機の離着陸や飛んでいる飛行機の映像」が流れたら、その航空会社のタイアップだと思ってください。ホテルの外観が出てきたらそれもだいたいそのホテルのタイアップです。

そうして、出演者やスタッフの旅費を節約するのは当たり前です。さらに一歩進んで、外国の観光局などから「どこどこの観光スポットを取材してくれたら◯十万円」と申し出があるケースもよくあります。国によっては「ウチの国を取材してくれて、指定するスポットを撮影してくれたら◯百万円」などというタイアップもしばしば。

いま日本で人気の海外の観光地の中には、こうしたタイアップを頻繁に行うことによって、日本で放送される回数を増やし、巧みな宣伝をしている国も多いです。
知らないあいだに、世論まで操作されている可能性までありますから、要注意です。

#1「全国ネットのワイドショーの裏側」はこちら
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『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)
鎮目博道 (著)
歓迎の踊りは30万円、北朝鮮内部の映像は2000万円……テレビ局に27年在籍した“中の人”が「海外ロケ番組の内容はあまり真に受けないでください」と語るワケ_1
2023/2/22
208ページ
ISBN: 978-4334953638
みんなうすうす感じているアノ裏コノ裏をオープンに!
テレビ局に27年間在籍した立場だからわかる内部事情、問題点や外圧を、誰にでもわかりやすく解説していきます。
YOUTUBEに押され「テレビは終わった」と言われたりしているが、本当に凋落の一途をたどるのでしょうか!?
[番組の病巣][制作の闇][人材の裏側][周辺の実情][放送の壁]の5つのジャンルについてをこのような見出しで。

【ニュース】信頼をなくしたのは「レギュラーコメンテーター」がいるから。コメンテーターは毎日変えるべき
【海外ロケ】「歓迎の踊り」30万円! 海外ロケには「不思議なお約束」が……「あの探検隊」から現在まで続く「ビックリルール」の数々
【スポンサー】「ポルシェ」や「フェラーリ」が事故を起こすとニュースになっても、国産車の名前は明かされないのはスポンサーへの忖度……など45項目。 
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