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厳しすぎるBPO(放送倫理・番組向上機構)のせいで
ベテラン&中堅芸人がテレビからいなくなる……

「どつき漫才」と「罰ゲーム」は本当にいじめを助長するのか?
いまテレビマンたちは、とにかく「とまどいながら」仕事をしています。それは、すべてのジャンルで同じです。どんな番組を制作するにしろ、「あらゆることの基準がはっきりしないので、どこまでがオッケーでどこからがアウトなのか」がまったくわからなくなっているのです。これは番組制作現場にとっては本当に悩ましい問題です。

「基準がはっきりしない」と言えば、いちばんはっきりしない基準が「痛みを伴う笑い」をどうするかについてです。2022年の4月にBPO(放送倫理・番組向上機構)の青少年委員会が「『痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー』は、青少年が模倣していじめに発展する危険性が考えられる」という見解を出したことがきっかけとなって、いやその前の2021年8月に「『痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー』を審議対象とすることを決めた」時点から、バラエティ番組の制作現場は「どうすればいいのか」と困惑し、混乱しているのです。

「痛みを伴う」という意味がなんともよくわかりません。厳密に考えれば「どつき漫才」のように相方を叩くのをウリにしている芸人さんもアウトです。「罰ゲーム」も、たとえ「からだにいいマッサージ」でも「高周波治療器」でも、だいたい痛みを伴いますからアウトですよね。現場の人間としては「どうしろと?」という感じですよ。

まあよくよく見解を見てみると「全部ダメ」と書いてあるわけでもないんですけど、テレビ局にとってみれば、BPOという組織自体がコワすぎて、まるで思想裁判所のようになっているわけです。「審議入り」になっただけで、平気で番組が終了したりしますからね。いくら「気をつけて制作するように」くらいの見解でも、テレビ局のエラい人は「BPOで問題になりそうなことはやめとけ」って忖度しますから、現場にしてみればもう「罰ゲーム」も「相方をどつく」のもおっかなびっくりです。